空自機管制違反 那覇空港 軍民共用、過密続く 生活経済に影響


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那覇空港に駐機する航空自衛隊のF15戦闘機=2017年5月撮影

 「軍民共用」の那覇空港は好調な観光やビジネス需要に加えて、主に中国機の領空侵犯事案に備えた航空自衛隊機の緊急発進が頻発し、過密状態が続いている。各航空会社では慢性的に遅延が発生し、いったんトラブルや事故が起きて滑走路が封鎖されると県民生活や観光に多大な影響が出る。第2滑走路の建設も進むが、抜本的な過密状態の解消には至らないとされる。

 2016年1月の編成に伴い、F15戦闘機がこれまでの2倍の40機体制となった。防衛省統合幕僚監部によると、那覇基地に司令部を置く南西航空方面隊の緊急発進(スクランブル)は、13年度は402回、14年度は468回、15年度は531回、16年度は803回、17年度は477回を記録。全国4方面隊の中でも飛び抜けて多い。

 民需も好調だ。16年度の乗降客数は初めて2千万人を突破した。滑走路1本の空港としては全国で2番目に発着回数が多い。全日空(ANA)の国際物流事業の取扱量も増えつつある。

 過密状態の解消に向け、20年に運用開始予定の第2滑走路の建設が進む。だが国土交通省大阪航空局の検討では、新滑走路開通後の発着回数は2倍とはならず、現状の1・2倍程度にとどまる見込み。空港北側空域が米軍の進入経路と重なっていることや航空機が第2滑走路に進む際には第1滑走路を横切らないといけないため、施設能力の最大限の利用には至らない。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の平良朝敬会長は「自衛隊は国の安全を守る組織なのは理解しているが、安心安全が担保されないと沖縄観光のマイナスとなる。民間と共用していることを日頃から意識して、絶えず緊張感を持ってほしい」と強調した。