全九州高校体育大会は18日、九州各地で行われ、陸上は女子走り高跳びの岸本志恵(中部商業)が1メートル73の大会タイ記録で優勝した。男子円盤投げでは藤原孝史朗(沖縄カトリック)が42メートル77で優勝した。女子3000メートルではカウマ・タビタ(鹿児島)が9分1秒30の大会新で頂点に立った。テニスは女子団体で沖縄尚学が準優勝、女子ダブルスの高岡鈴蘭・前田優歩(沖縄尚学)も準優勝だった。
◆1メートル73 大台超え全国へ/女子走り高跳び・岸本
女子走り高跳びで岸本志恵(中部商業2年)が自己ベスト(1メートル68)を大きく更新し、1メートル73の大会タイ記録で優勝。初めて1メートル70台の扉を開けた。「全国の(戦える)ラインに乗せられたのが一番うれしい」。少し目を潤ませながら、うれしそうに笑った。
大会初日の400メートルリレーで足を痛め、万全の状態ではなかった。痛みはなく、テーピングを巻くなどしたが不安は残っていた。「誰よりも技術的なことは積み重ねてきた」という自信が、岸本を支えた。
練習の跳び方を本番でも「再現する」ことを意識した。1メートル55からスタートし、1メートル67まで一発クリアし、ここで優勝を決めた。あとは自身との勝負で、初めて1メートル70に挑んだ。2度目の試技で太ももがバーに少し触れたが落ちずに成功した。
いつもは高さが上がると気負ってしまい助走が速くなるが、この日は練習の再現に集中したことで、余計な力みがなく落ち着けた。仲間からの声援にうなずき、笑顔でバーに向かった。1メートル73は2度は失敗するも、最後の試技の踏み切りで「はまった」。バーを越えると普段よりマットに着地するまで長く感じた。「よっしゃ」と心の中で叫び、ガッツポーズで喜びを現した。
初めて挑む全国の舞台。さらに先に見るのは最終学年で迎える地元開催の南部九州総体だ。「(今回は)決勝進出、表彰台を狙って、来年は全国制覇したい。県高校記録(1メートル76)を更新したい」と新たな高さへと挑む。 (屋嘉部長将)
◆藤原、円盤投げ優勝/冷静スローで自己ベスト
男子円盤投げで藤原孝史朗(沖縄カトリック2年)が42メートル77の自己ベストで、九州の頂点に立った。1投目の42メートル33から首位に立ち続け、5投目直前に逆転されるも、冷静なスローで最終試技を前に再逆転した。その5投目は「円盤の高さ、軌道全てが良かった」という。「ファールが1本だけで昨年11月から更新できなかった自己ベストを更新できたのも良かった」と藤原は内容に満足げだった。
1投目から腰の回転を速くし、パワーを腕へ伝えることを意識した。1投目で40メートルラインを越えるのを見届けひと安心。「いつもは1投目でファールして自分の投げができなかったが、今回はしっかり出せた」
砲丸投げが専門だが、少年Aとなる今年の国体から砲丸投げがないことから円盤投げをメーンに取り組む。しかし、学校では円盤を投げる広さがなく、日常的に練習はできない。フォームのチェックのみの練習だが、上半身中心のウエートトレーニングで体を鍛える。
現在の記録では全国で戦うことができないと考えており、目標は45メートルオーバーだ。「投げる技術を磨けば45メートルはいける。今年で45メートル、来年は50メートルを目指したい」と力を込めた。 (屋嘉部長将)