狭心症患いながら新聞配達で資金 73歳の男性が学校に本を贈り続ける理由


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 【名護】名護市汀間出身の松田義之さん(73)=那覇市=が、2013年から名護市の小中一貫教育校、緑風学園に図書を贈り続けている。7日にも寄贈があり、贈呈した数は1040冊となった。同校の図書室に「松田義之文庫」のスペースが設けられ、子どもたちに親しまれている。これまでに約4千冊の本を読んだという松田さん。「自分の小さい頃はお金もなかったから」と、子どもたちには、小さい頃から常に多くの本に触れてほしいと願う。

2013年から本の寄贈を始め計1040冊を寄贈した松田義之さん(左端)と子どもたち=7日、名護市の緑風学園

 寄贈を始めたきっかけは、那覇市立松島小学校で交通指導員をしている時だった。子どもたちが小脇にぼろぼろの本を抱えて登校していた。「一冊の本が何百人の子どもたちに読まれている。その時に本をプレゼントすることを決めた」と振り返る。

 狭心症を患う松田さんは「自分は爆弾を抱えている」と言いながらも、子どもたちに本をプレゼントするため、毎朝4時からの新聞配達のアルバイトを始めた。年間約50万円で本を購入し、年に2回、緑風学園に寄贈している。

 この日は、西日本読書感想画コンクールの指定図書21冊を3部ずつ届けた。松田さんが贈った新しい本を見た子どもたちは本に飛びつき「これ面白そう」「ありがとう」と感謝を伝えた。3年の岸本唯怜矢(ゆりや)さん(8)は「うれしい。本を開く時が楽しい。たくさん読みたい」と笑顔を見せた。渡具知久浩校長は「本から学ぶことが多く、子どもたちは読解力や表現力を身につけて成長している。松田さんの背中を見て子どもたちにも活躍してほしい」と感謝を伝えた。