沖縄県史戦争編、異例の増刷 注文再開10日で220冊


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第2刷の注文受け付けが始まった県史各論編6「沖縄戦」=21日、南風原町新川の県公文書館

 沖縄県教育庁は11日から、昨年春の刊行後「即完売」した「県史 各論編6 沖縄戦」の注文受け付けを再開している。県内外からの要望を受け、第2刷として800部を増刷。1冊5千円ながら、21日までに約220冊の申し込みがあるなど、異例ずくめのベストセラーとなっている。

 同書はB5判で824ページのオールカラー。沖縄戦の経過や特徴、継承など5部構成で、最新の研究成果を盛り込んでいる。昨年3月末に販売を開始し、1週間で300冊を完売。「男女問わず、幅広い年齢層から注文」があり、追加発行分の250冊も5月中旬までに売り切れた。

 県教育庁文化財課は昨年6月から、インターネットで増刷に関するアンケートを実施。手紙や電話、ファクスも含め、今年3月までに県内外の約300人から増刷の要望があった。「親の世代が亡くなった。当時の状況を知りたい」「平和ガイドで使いたい」などの声が寄せられたという。

 県史の各論編は「沖縄戦」を含めて7冊あるが、増刷は初めて。第2刷では、数字や字句など初版の誤記20カ所を訂正した。今月11日の受け付け開始以降、「相当反響が大きい」(文化財課)という。振込用紙での入金が確認できれば、順次発送する。

 注文者の約半数が県外からといい、文化財課史料編集班の納富香織指導主事は「若い人への継承や学校現場での活用など、沖縄戦を知ってもらうツールになれば」と期待している。購入の問い合わせ、申し込みは県教育庁文化財課(電話)098(888)3939。