3・11被災体験共有し防災に活用へ 全国の避難者、那覇で初集会 


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
参加者らを前に福島原発事故の被災者の心の傷について講演する蟻塚亮二さん=24日、那覇市銘苅のなは市民協働プラザ

 東日本大震災や福島原発事故で被災し、全国各地に避難している当事者らでつくる「ヒラエス・プロジェクトチーム」は24日、被災時の体験談を共有し、防災について考える集会「当事者ネットワークキャラバン」を沖縄県那覇市のなは市民協働プラザで開いた。チームは被災後に北海道、東京、愛媛、岡山、沖縄の5都道県へ避難している当事者が設立メンバーとなって発足。今回が最初の活動となる。年度内にメンバーが住む5都道県で集会を開いて被災体験を共有し、教訓として防災に活用できるように報告書をまとめる。

 沖縄県内からヒラエス・プロジェクトチーム設立メンバーに参加した桜井野亜さん(沖縄じゃんがら会代表)は「皆さんの言葉一つ一つが将来の防災に生かせるように歩みを始めたばかり。(被災した)経験のかけらを集めて生かしたい」と強調した。

 精神科医の蟻塚亮二さんによる講話「3・11と心の災害」もあった。福島原発事故の被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)について、沖縄戦体験者のPTSDとの比較も交えて解説した。

 沖縄戦体験者のPTSD発症率が約4割と高いことを踏まえた上で、福島原発事故の被災者の発症率は、7年経過後の今も約6割とさらに高いことを報告。原発事故に伴う生活への影響や狭い仮設住宅で暮らす中でストレスが蓄積し、「震災関連の自死のうち半分が福島出身者」と説明し、「日本人が経験したことがないハイリスクな震災だった」と指摘した。

 参加した被災者からは「当事者ではない人への(心理的な影響を)伝える方法は」といった質問が出た。蟻塚さんは「なぜ避難しているのかを自分で納得できる言葉にしていく作業が必要。そういうことがメンタルを強くする」と強調した。