沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは、生まれつき心臓の形や機能に異常がある患者が成人になって以降の診療体制を整えるため、成人先天性心疾患の専門外来を県内で初めて開設した。先天性心疾患は大人になって発症した心臓病とは異なり、小児科医が継続して診ることが多い。開設によって、小児から成人に至るまでスムーズに移行医療を確立する狙いがある。
専門外来は毎週水曜日の午後2~4時で、6日から診療を開始している。28日に同センターで記者会見した佐久本薫院長は「患者の実態や年齢変化を把握し、治療につなげていければ」と述べた。
同センター小児科部長の中矢代真美医師によると、先天性心疾患は生まれてくる子どもの1%ほどに発症し、県内では年間、約150人と推計されている。医療技術の進歩で多くが成人を迎えるようになり、患者数は増加している。
患者の中には継続して治療が必要な人もいるが、年齢が上がると高血圧など成人特有の病気も加わり、小児科では対応が難しくなる。さらに、沖縄では日本復帰前後に県外で手術を受け、その後の動向が分からない患者が300~400人いるという。中矢代医師は「幼少期に県外で手術を受け、いろんな症状が出てきたが、どこを受診したらいいか分からないという方にも来てほしい」と呼び掛ける。
患者や家族からは専門外来の設置を求める声が上がっていた。全国心臓病の子どもを守る会県支部の宮里敏夫支部長(62)は「成人に近づくと病気とどう向き合うかが大きな課題だった。自立に向けてサポートいただけるのは大変うれしい」と喜んだ。