手法に不満 保守分裂含みも 沖縄県知事選、候補者選考委員会


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<解説>

 自民党県連と経済界関係者でつくる候補者選考委員会が宜野湾市長の佐喜真淳氏(53)を県知事選に擁立する方針を固めた。11月1日の告示まで4カ月を切り、公明や維新との協力関係構築など、選挙戦の態勢づくりを加速させる構えだ。ただ、他の選考対象者からは、選考手続きが「不透明」と反発する声も上がっており、保守系候補の一本化は難局が続きそうだ。

 佐喜真氏への評価を巡っては、市長や自治体議員の経験に加え、50代前半の若さが無党派にも浸透しやすいといった見方から、自民党本部や政権幹部が「勝てる候補」として県連側に早期の一本化を促してきた。

 選考委は、県選出国会議員や副知事経験者などの意向を水面下で探ってきたが調整は難航し、候補者決定が大きくずれ込んだ。こうした中で佐喜真氏については、知事選出馬に伴う宜野湾市長選の後継候補の調整などの環境整備が進めば障壁は少ないと判断。出馬を要請することで環境整備を後押ししたい狙いもある。

 6月下旬の佐喜真氏の選挙資金パーティーでは仲井真弘多前知事や翁長政俊県議が秋波を送るなど関係者の間でも最有力候補との認識は一致していた。

 一方で、選考委の人選で名前が残る元沖縄観光コンベンションビューロー会長の安里繁信氏(48)が3日、独自に出馬表明に踏み切る。前南城市長の古謝景春氏(63)も2日に会見を開いて出馬の意欲を明らかにした。両者の支持者は、選考委が1カ月以上開かれていない中で佐喜真氏に絞り込まれた経緯に不満を募らせており、保守分裂の可能性もはらんでいる。
(与那嶺松一郎、吉田健一)