【辺野古問題取材班】日付が変わろうとする14日深夜、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で新たな柵の設置作業が突然始まった。新基地建設に抗議する人々が座り込む場所を封じ込めるように、作業員は柵を取り付けていった。駆け付けた市民らは「県民の裏をかくようなやり方だ。移設がやましいことだと言っているに等しい」「抗議する場を奪うな」と批判した。
沖縄防衛局は作業を午後11時ごろから始めた。新基地建設を進める沖縄防衛局やシュワブ前の国道329号を管理する沖縄総合事務局の職員、民間警備員や作業員など、少なくとも80人余が作業した。
午後11時20分ごろ、現場付近を車で走っていた中原貴久子さん(58)=名護市=は、柵設置に向けた資材を積んだトラックや作業員を乗せた車を目撃し、異変に気付いた。関係者や作業員があっという間に集まり、設置を始めたという。
中原さんは取材に「平和を求め、抗議をする場さえも県民から奪うのか。移設が正しいと政府は主張するなら、昼間に堂々と作業すればいい。今回のやり方はとてもひきょうだ」と憤った。
作業員らは「交通規制材」と呼ばれる赤白の柵の容器に、おもしとなる水を注入したり、クレーンで高さ4メートルの柵をつり下げて設置したりした。翌15日午前6時までに作業を終えた。現場には未明から情報を聞いた人々が集まり、柵の設置をしないよう抗議の声を上げた。
ゲート前で抗議を続けてきた沖縄平和運動センター議長の山城博治さん(65)は午前8時半ごろ、現場に駆け付けた。山城さんは「抗議する市民への弾圧だ。新基地の完成まで10年ほどかかるともいわれるが、行政機関の沖縄防衛局はその完成まで、国道や歩道を柵で規制し続けるつもりか。その権限はないはずだ」と強調した。