再生医療の実証へ フルステム、南部徳州会など 幹細胞大量培養、応用期待


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幹細胞の大量培養装置を活用した再生医療の実証に乗り出す(右から)千葉俊明社長、赤崎満院長ら=18日、県庁

 沖縄県那覇市のバイオベンチャー「フルステム」と南部徳洲会病院(八重瀬町)、そばじまクリニック(大阪府)は、フルステムが開発した幹細胞の大量培養装置を使って再生医療の実証に乗り出す。18日、3者が県庁で記者会見し発表した。県の委託事業として2018~21年度の4年間で実証に当たる。安全かつ低コストで幹細胞がつくれるようになれば小規模な医療機関でも活用でき、多くの患者への普及が期待される。

 再生医療では多くの細胞培養が必要だが、人手や設備にコストがかかることが課題になっている。フルステムは不織布を使って一度に10億個の幹細胞を自動培養する装置を開発した。再生医療認定医でもある同社の千葉俊明社長によると、大量自動培養された細胞による実証は世界初。

 再生医療の実施には、2014年に施行された再生医療等安全性確保法に基づいて計画書を作り、外部委員会の審査を受けた上で国側に提出することが義務付けられている。今回の事業では18年度に申請し、19年度に南部徳洲会病院で皮膚潰瘍の治療開始を目指す。20年度はそばじまクリニックで変形性関節症、21年度には南部徳洲会病院で尿失禁の治療を行う方針。

 千葉社長は将来的に認知症や脳梗塞、脊髄損傷、アンチエイジングなど幅広い医療への応用が期待されるとし「4年間で確実に実証し、沖縄発の技術で最先端の治療をやっていきたい」と意気込んだ。南部徳洲会病院の赤崎満院長は「将来は県民に役立てることを責任として感じている」と話した。