【座間味】沖縄県が座間味村に建設を予定している新たな浄水場の排水先にウミガメの食事場や産卵地となっている阿真ビーチがあることから、一部の村民が環境への影響を懸念し建設予定地の変更を訴えている。県は浄水場建設候補地を阿真区のキャンプ場に隣接する多目的広場に決定し、すでに地権者の同意も得ている。だが浄水場が設置されれば、1日最大90トンの排水が阿真ビーチに向かって放出されることになり、ウミガメが食する海草藻場への影響や生態系が崩れる可能性が指摘されている。
浄水場建設は、本島と離島の水道サービスの格差を解消しようと県が取り組む水道広域化事業の一環。座間味村内にある浄水場は老朽化が進んでおり、浄化処理するダムの水質が悪化していることから施設の新設が決まった。県は今年4月と6月に住民説明会を開き、阿真区内での浄水場建設を予定していることを説明。きょう19日にも、座間味村内で3回目の説明会を開く。
阿真ビーチは多くの観光客でにぎわっており、「ウミガメに会えるビーチ」として人気が高いという。阿真ビーチに訪れるウミガメを個体識別して観察を続けている地元住民によると、毎年のように阿真ビーチに姿を見せるウミガメが10頭以上いるという。5~6月に産卵も確認されている。
県企業局は、浄水場から阿真ビーチに向かって排出される排水について「塩化物イオンが含まれる。海水の方が濃度は高く、もし環境が変わるとすれば、海水の塩分濃度が下がる可能性がある」という。
阿真区の区民の一人は「阿真の最大の魅力は自然環境だ。浄水場建設には反対していないが、現計画では阿真ビーチの生態系に影響が出て環境が崩れる可能性があり、この場所への建設には反対している」と話した。村民の中には他の候補地を探して県に提案しようと、独自に調査を始める動きも出ている。
また、建設地決定後にしか県や村が住民説明会を開催していないことに対しても、村民の中から「もっと早く(事業の進捗(しんちょく)を)公表できたはずだ」「地権者から同意を得られた時点で説明すべきではなかったのか」など批判や憤りの声が挙がっている。