再び法廷闘争へ 沖縄県政最大の正念場に 辺野古きょう「撤回」


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<解説>

 翁長雄志知事は27日、名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての承認撤回を表明する。政府は工事を進める根拠を失い、工事を止めなければならない。新基地建設阻止を目指す翁長知事は「最後の切り札」を切る決断をした。

 翁長知事は2014年11月に新基地建設阻止を掲げ、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事に約10万票の大差で当選した。それでも新基地建設を推進する姿勢を崩さない政府に対し「あらゆる手法を使って辺野古新基地建設を阻止する」と公言してきた。

 これまでサンゴの特別採捕許可権限や岩礁破砕許可など知事権限を行使し、工事を遅らせたり、法廷闘争に持ち込んだりしてきた。それと並行して、根本的に工事を止める最大の知事権限と位置付ける「撤回」に向けて検討を続けてきた。沖縄防衛局に対し、工事停止などを求めて行政指導を重ねてきたが、防衛局は従ってこなかった。17日には「最後通告」と位置付ける文書を送付した。

 翁長知事は15年10月に埋め立て承認の「取り消し」に踏み切ったが、最高裁判決で敗訴した。取り消しを巡る裁判で、防衛局は自らを「私人」と主張するなど異例の主張を繰り返した。県側の弁護団が予想しなかった戦略が飛び出した。県側弁護士の一人は「脱法的だ」と批判した。

 翁長知事が埋め立て承認を撤回した後、国と県は再び法廷闘争に入る見通しだ。「撤回」と「取り消し」で処分の理由は異なるが、今後予想される法廷闘争はこれまでの裁判と共通する面もある。これまでの裁判で政府に敗訴してきた翁長知事がどのような戦略で建設阻止につなげるか。辺野古問題で翁長県政はこれまでにない大きな正念場を迎える。
 (明真南斗)