国の対抗手段 代執行訴訟と執行停止 辺野古きょう「撤回」


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 翁長雄志知事が辺野古埋め立て承認を撤回した場合、事業者である沖縄防衛局は辺野古新基地建設工事を停止しなければならない。一方で政府は埋め立て承認撤回を県に代わって撤回するための「代執行訴訟」を起こすことが予想される。併せて、判決を待たずに承認撤回の効力を凍結する「執行停止」も裁判所に申し立てる計画だ。裁判所は執行停止の可否を早ければ2週間程度で判断するとみられている。裁判所が執行停止を認めれば撤回の効力は凍結され、政府は承認撤回から数週間で工事を再開できる。裁判所が執行停止を認めない場合は工事は停止したままで代執行訴訟が進められる。

 代執行訴訟は3~4カ月程度では判決が確定するとみられている。翁長知事が仮に8月中旬ごろに埋め立て承認を撤回した場合、11月18日に予定される県知事選と近い時期に判決が出ることも考えられる。

 2015年に知事が埋め立て承認の「取り消し」を実施した際に、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき国土交通相にその効力の執行停止を申し立てて認められた。

 だが行政不服審査法は私人による申し立てを前提とした制度となっている。防衛局が自らを「私人と同じ立場」として救済措置を申し立て、同じ政府機関である国交相がこれを認めた手法は、裁判所や行政法学者からも批判された。

 そのため政府は今回、行政事件訴訟法などに基づき裁判所に対して執行停止を申し立てる手法を検討している。