沖縄県産マグロ、刺身で県外へ 琉球海運がマイナス60度輸送実現


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 琉球海運(沖縄県那覇市、宮城茂社長)と沖縄急送(浦添市、富里正治社長)が、県産マグロなどをマイナス60度で凍結保管、輸送できる超低温冷蔵倉庫を那覇港総合物流センターに整備している。2019年度に稼働する。本格的な規模の超低温冷蔵倉庫、同時に運用する急速凍結設備、超低温海上輸送コンテナはいずれも県内初導入。従来の緩慢凍結(マイナス20~30度)では避けられなかった品質の劣化を防ぎ、県内での一時保管も可能になる。品質維持と輸送コスト低減を両立させることで、県外・海外への安定供給、価格の平準化を図ることが狙いだ。

 那覇港総合物流センターの倉庫はマグロ以外にも黒糖と野菜の鮮度維持や、県内に流通する県外産食品の保管にも活用する方針だ。販路開拓を含め、県内の流通を改革する拠点となる。

 新たな冷蔵倉庫などは同物流センターの物流棟2階に整備する。沖縄急送が入居する区画に約60平方メートルの急速凍結設備、約380平方メートルの超低温冷蔵倉庫などを備える。いずれも冷蔵倉庫大手の前川製作所(東京)が開発した。約14トンのマグロを急速凍結、約200トンを保管できる。

 琉球海運によると近海で取れた県産マグロは現在、県内の量販店や飲食店で消費されるか、空路で県外の都市部に輸送されている。空路は輸送費や箱代が高額で、氷漬けのため温度も保たれていない。消費地が一部の都市部に限られている。

 船便で県外に出荷されるマグロもあるが、凍結が不十分なため品質の劣化が避けられず、加熱用加工食品や飼料、ペットフードなどに使われている。

 琉球海運の下地秀明企画部長は「品質のよい県産マグロを、県外でも刺身で流通させることができる。県内の農林水産、畜産業の活性化につなげたい」と述べた。
(宮城隆尋)