【ボリビア】初の県人移住記念祭 ボリビア110周年 次世代継承に力


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 比嘉 徹氏

 沖縄県人ボリビア移住110周年記念祭が、11~12日、サンタクルス県コロニア・オキナワで開催される。12日にはオキナワ日ボ協会文化会館で式典が開かれ、ボリビア国内をはじめ沖縄県や日本本土、隣国から約千人の参加を見込む。今年4月に記念祭実行委員長に就任したボリビア沖縄県人会の比嘉徹会長(53)は「110周年記念祭開催は先駆者の努力と苦難の歴史を想起し、心からの感謝と敬意を表すものだ。次世代へ継承する出発点にしたい」と開催への思いを語る。

 ボリビアに県人が渡ったのは110年前の1908年。06年に沖縄からペルーに渡った県人が、ボリビア北部のベニー州リベラルタでゴム樹液採集に従事するため、アンデスの山を越え同国に入ったのが最初だ。先人たちは戦後、沖縄から同国へ移住者を受け入れる移民計画を発案し、オキナワ移住地建設に貢献した。

 県人会はこれまでコロニア・オキナワへの入植を記念する式典を実施してきたが、隣国のブラジル、アルゼンチン、ペルーのような移住記念式典は実施していなかった。しかし、3年前の県人会による調査で、ボリビアに最初に渡った県人の名簿と手がかりを入手したことをきっかけに、今回、ブラジルなどと同様に移住記念式典を開催することを決めた。

実行委員会会議で記念祭のプログラムや組織体制を確認する県系人=7月、ボリビア

 実行委員会は、「先人が灯(とも)した県人の『心』を次の世代に繋(つな)ぐことは私たちに与えられた使命」をモットーに、若い世代を県人組織に組み入れ、各地域の青年会会議への参加や意見の吸い上げなど行ってきた。さらに、全ての行事に青年を参加させ、学校でも移住学習を実施するなどしてきた。

 比嘉さんは記念祭に向け若者を参加させてきたことについて「110周年の歴史を振り返る機会になることを願っている。先駆者がいかに苦労したのか、移住地建設を夢見て呼び寄せた思いがいかなるものだったのかを次世代に伝え、県人の歴史が110年あるということを分かるきっかけになってほしい」と期待する。さらに「移住者の先駆者はボリビアで日系社会を開拓し、ボリビア社会に貢献してきた。また、戦後移住者を受け入れる取り組みのおかげで、今の私たちがある」と先人の功績も強調した。

 記念祭は、式典のほか祝賀会、市町村交流会、慰霊祭、豊年祭なども2日間で執り行われる。また、次世代に継承しようと、子孫の調査や記念誌発行も行っている。
 (安里玉元三奈美通信員)