謝花沖縄県副知事、方針堅持を言明 時期は“綱引き”続く


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謝花喜一郎副知事

 翁長雄志知事が急逝した直後に開かれた県民大会で、知事の職務代理者である謝花喜一郎副知事は、辺野古の埋め立て承認「撤回」に関して「知事の強く熱い思いを受け止め、引き続き毅然と対応する」と述べた。知事の急逝で“宙に浮いた”撤回手続きの行方が注目される中、県が承認を撤回する方針に変わりはないと事実上表明したと受け止められている。

 県民大会は台風の接近で中止も検討された。当日も雨が予想され、集まりが懸念されていたが、会場に入りきれない程の人が集まった。歴代知事でも支持率が高かった翁長氏の急逝を受け、辺野古問題への関心が改めて高まったことが背景にあるとみられる。

 7万人(主催者発表)の前で、知事の「代理者」が撤回に前向きな発言をした意味は大きい。「沖縄のアイデンティティー」に強くこだわった翁長知事は生前、演説などの冒頭と最後は必ずうちなーぐちであいさつしたことで知られる。謝花氏もこの日、壇上で同じくうちなーぐちであいさつし、「翁長路線」の継承をにじませた。

 一方、撤回のタイミングは流動的要素が残る。県は法的観点からは職務代理者でも撤回は可能だとしている。ただ、政府と対峙(たいじ)する重大な政治決断を伴う撤回を知事以外の人物が行うのが「ふさわしいのか」という議論は残る。そのため県政与党とも対応を議論する必要がある。

 国が予定通り今月17日に埋め立て土砂を投入すれば、県も対抗措置として早期に承認を撤回する可能性が高い。一方で、知事の急逝で知事選が9月に前倒しされる。土砂投入、承認撤回の応酬が続けば、政府は辺野古問題の“争点隠し”が通じなくなり、土砂投入の時期を慎重に見定めざるを得ない。「撤回」をしばらく留保する可能性も出てくる。

 辺野古新基地建設を止める最大の権限とされる「撤回」を巡り、県民大会の場で県側の「強い決意」が確認されたことを受け、今後は知事選で「辺野古」が大きな争点になりそうだ。
 (島袋良太)