子の性被害 摘発116件 17年沖縄県内 過去10年で最多


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 児童買春や児童に淫行させる行為などの性犯罪被害に遭って沖縄県警に補導・保護された18歳未満の子どもが、昨年1年間で80人に上ったことが分かった。被害人数は2008年からの10年間で、15年の90人に次いで2番目に多く、摘発件数は116件で最多だった。識者は「福祉犯罪の摘発者数は全国的に見ても高い。見えていない被害を考えると、実態はより多いのではないか」と話している。

 子どもが被害者となる「福祉犯罪」のうちの性犯罪被害数を、本紙が県警少年課に照会して明らかになった。被害罪種は(1)児童買春・児童ポルノ禁止法のうちの児童買春(2)児童ポルノ違反(3)18歳未満と知らずにみだらな性行為等をした場合に適用される青少年保護育成条例違反(4)児童福祉法違反のうちの児童に淫行させる行為。

 17年の摘発者数は、県条例違反(みだらな性行為等)が27人、児福法違反(児童に淫行させる行為)が7人、児童買春が13人、児童ポルノが12人の計59人。摘発件数は08年からの10年の間で最多の116件だった。被害者1人で数件の被害に遭った事例や加害者が複数の罪で摘発された場合があり、被害者数より摘発件数が多くなっている。

 被害に遭った80人の内訳は児童買春16人、児童ポルノ17人、県条例違反31人、児福法違反が16人。未成年を風俗就労させた違法業者や客による買春行為以外に、教師が立場を利用して生徒に性的行為をした事例も含まれる。

 被害を年齢別に見ると、中学生が35人と最も多く、高校生32人、無職少年10人、有職少年2人、小学生1人と続いた。小学生は児童ポルノによる被害だった。13歳未満が児童ポルノ以外の性犯罪被害に遭った場合は、より重い罪として加害者は強制性交等罪、強制わいせつ罪など刑法で裁かれる。

 県警少年課の島雅孝次席は「風俗の未成年就労については、生活のために働いている子もいた。いずれも家に居場所のない子ばかりだった」と語り「業者も店の場所を転々として摘発を免れる実態がある。児童を保護して再被害を防止し、違法業者の根を絶つために取り締まりに努めたい」と話した。
 (「彷徨う」取材班)