写真に写っている人たちを探しています―。1952~53年に米軍医が撮影した写真に写る沖縄の住民から当時の話を聞き、米統治下の沖縄について学ぼうと、米カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の学生15人が2日から来沖している。学生らは、写真に収められている建物や風景を手掛かりに、写った住民たちを探しているが、困難を極めている。「写真を見て、わずかでも分かることがあれば」と情報提供を呼び掛けている。
米統治下に読谷村の米陸軍トリイ・ステーションで米軍医をしていたチャールズ・ユージン・ゲイルさんは、沖縄全島を回り約150枚の写真を残した。幼女をおんぶした高齢女性、商店街の人混み、軍の払い下げの靴を履いて遊ぶ男児たち、種子店の店先でほほ笑む男性など当時の人たちの生活の様子が切り取られている。ゲイルさんの死後、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校に勤めていた娘のジェロディーンさんが同大に寄贈した。
同校のカウエル・カレッジで沖縄の歴史を研究するアラン・クリスティ学長(53)が写真を見て「一枚一枚に当時の沖縄が詰まっていて、歴史的価値があるものだと思った」とし、当時の沖縄や写し出された人々の足跡をたどる「ゲイルプロジェクト」を2013年に立ち上げた。17年には同校で展示会を開き、好評を得たという。
今回、クリスティ学長と来沖した学生15人は、ゲイルさんの写真を基に、県内各地の美術館や資料館を訪ね、当時の歴史背景や人々の生活を学びながら、そこに写る人たちを探している。写真に写る店名や女性のハジチ(針突)の模様、背景などを手掛かりに訪ね回っているが、写真に写った人たちにはまだ会えていないという。クリスティ学長は「沖縄の研究者や大学生、当時を知る方々からも情報がほしい」と協力を呼び掛ける。サンタクルーズ校の学生らは30日まで滞在する。
ゲイルさんが撮影した写真はホームページ「gailproject」から見ることができる。情報提供はクリスティ学長(日本語可)の電子メールまで。achristy@ucsc.edu