ハンセン病の歴史と差別解消を教育の場で伝えて 愛楽園が教員向け講座


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ワークショップで意見を交わす参加者=17日午前、名護市済井出の沖縄愛楽園交流会館

 【名護】名護市済井出の沖縄愛楽園は17日、愛楽園の歴史とハンセン病、らい予防法について学ぶ教職員向け講座を同園で開いた。県内外から約40人の教職員や学生らが参加し、体験者による講話やワークショップ、施設見学などを通して理解を深めた。講座は愛楽園自治会がハンセン病問題の継承と現在も残る差別解消につなげようと2017年から始め、今年で2回目。

 東京の国立ハンセン病資料館事業部社会啓発課の儀同(ぎどう)政一参与がハンセン病や歴史について解説した。参加者はハンセン病が慢性感染症で、インフルエンザなどと同じような普通の病気であることや発病力が極めて弱く発病しても薬で完治することなどを学んだ。

 体験者講話では、ハンセン病回復者で愛楽園ボランティアガイドを務める平良仁雄さん(79)が、9歳で愛楽園に収容された体験を語った。強制労働が科せられていたことや強制堕胎・断種が行われていたことなどを机をたたきながら話した。「らい予防法がどういう法律だったのか。私たちの傷を頭ではなく心で理解して子どもたちに伝えてほしい」と訴えた。

 琉大付属小の米須清貴教諭は「平良さんの体験にじかに触れることで学ぶことがたくさんある。子どもたちや教員にその機会をつくっていきたい」と語った。