「平和! 心ひとつに 誇りある豊かさを!」。8日に死去した沖縄県知事の翁長雄志さんが今年の七夕に合わせ、平和へのメッセージを短冊にしたためていた。県平和祈念財団が2012年から毎年実施している七夕祭りのために執筆したもの。同財団の上原兼治常務理事兼事務局長は20日、本紙取材に「多忙な公務と、体調がすぐれない中で書いてくださった。思いがこもった一筆は、翁長さんの遺言にも感じられる」と、亡くなる1カ月前に書かれた翁長さんの短冊を見つめ語った。
翁長さんは知事就任後の15年以降、財団が主催する七夕祭りに毎年、平和への思いをつづった直筆の短冊を寄せた。15年と17年には「平和! 誇りある豊かさを!」としたため、今年はそれに「心ひとつに」の一節を加えた。16年は沖縄の黄金言葉で、糸満市の白銀堂にも刻印された「意地ぬ出じらー手引き 手ぬ出じらー意地引き」(腹が立ったら手を出さないようにし、手が出そうになったら心を鎮めなさい)を書き留めた。
翁長さんは生前、沖縄の目指すべき姿について基地経済から脱却し、アジアとの平和の懸け橋になることだとし、「誇りある豊かさ」を14年の県知事選挙のスローガンにも掲げていた。上原さんは「明日を担う子どもたちにも平和を希求する翁長さんの遺志は伝わったと思う」と話した。
短冊は財団が保管しているが、21日に国立沖縄戦没者墓苑で開催される盆供養祭で他の短冊と一緒にたき上げられる。