16歳が手話で訴えた「フェンスのない未来」


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手話を交え、詩「戦場の花から平和の花へ」を朗読する渡具知和紀さん(左)=20日、那覇市の県庁

 第28回児童・生徒の平和メッセージ展(県主催)の開会式・表彰式が20日、沖縄県庁で行われた。詩部門の「特別支援の部」で最優秀賞を受賞した県立沖縄ろう学校高等部2年の渡具知和紀(かずき)さん(16)は、受賞作を手話を交えて朗読した。題名は「戦場の花から平和の花へ」。涙を流して証言する戦争体験者の思いに触れた渡具知さんは、「忘れてはならない」と訴え、両手を高く上に掲げ、今も米軍機が飛び交う沖縄の空を表現した。平和な社会のために「若者よ。動いていこう」と同世代にも呼び掛けた。これに対して会場からは拍手が送られた。

 2歳の時に聴覚障がいが判明した。幼い頃からテレビ番組の手話教室を見るなどして独学で手話を覚え、発声も練習し努力を積み重ねてきた。今回の表彰式で披露した手話付きの朗読は約3週間かけて練習した。

 朗読した詩は戦争や平和とは何か問い掛けた。「おじぃやおばぁの心の叫び。私の耳には確かに聞こえる」。抑揚を付けた声と身ぶり手ぶりで表現し、出席者は引き付けられた。最後は「米軍機が飛び交う空の下、今日も私は叫び続ける。フェンスのない未来を求めて」と締めくくった。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設が行われている大浦湾に近い同市瀬嵩で生まれ育った。自然豊かな海が破壊されることに反対し、米軍キャンプ・シュワブゲート前で平和を願う火をともすピースキャンドルを約14年間、家族と共に続けている。

 詩の朗読前には、新基地建設阻止へ尽力した県知事の翁長雄志さんへ向けて「ありがとうございました。お疲れさまでした。翁長知事の遺志を私たちが受け継いでいきます」と誓った。

最優秀賞、優秀賞を受賞し、記念撮影する児童生徒ら=20日、那覇市の県庁