宜野湾、無投票も 与党は着々 野党が難航


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 【宜野湾】9月30日投開票の沖縄県知事選と同日に実施される宜野湾市長選は23日、告示まで1カ月となった。知事選に出馬する佐喜真淳前宜野湾市長(54)の後継候補として松川正則副市長(64)が既に出馬を表明したが、市政野党は候補者選考が難航しており、現状では選挙戦となるかは不透明だ。知事選で米軍普天間飛行場の辺野古移設問題が最大争点となる中、飛行場を抱える宜野湾市長選で、辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力が仮に候補者擁立を断念し、“白旗”を上げれば、知事選への影響は避けられない。

 野党の選考委員会は当初、7月中に候補者を決定する方針だった。しかし、宜野湾市区選出の新垣清涼氏(68)と宮城一郎氏(51)の両県議や桃原功市議(59)、労組、教育関係者らの名前が挙がったが、候補者全員が出馬を固辞。唯一立候補に意欲を示していた玉城健一郎市議(33)も今月中旬に選考委へ辞退を伝えた。

 選考が難航する現状に、委員の一人は「宜野湾は佐喜真氏の地元だ。もし擁立できず、セット戦術を展開できなければ、知事選で宜野湾の得票は前回市長選よりも大きな差が開いてしまう。なんとしても無投票は避けたい」と危惧(きぐ)する。

 辺野古移設に関する論戦への影響も必至だ。前出の委員は「2月には移設先の名護(の市長)を取られた。選挙をせずに移設元の宜野湾も取られれば、その脱力感は大きい。市内では知事選の運動にも影響を及ぼす」と重ねて危機感を示した。

 選考委は現在、連日のように会合を開き、固辞している候補者の説得や新たな候補の模索を進めている。伊波洋一参院議員、照屋寛徳衆院議員、友寄信助元県議会議長ら顧問団も頻繁に参加し、突破口を探る。

 一方の松川氏陣営。21日に出馬表明をしたが、前回選挙では、佐喜真氏は投開票日の4カ月以上前に出馬表明会見を終えていた。「超短期決戦」に加え、行政一筋の松川氏には選挙経験が無いため、佐喜真氏とのセット戦術で効果的に知名度向上を図る。既に佐喜真氏と市内団体にあいさつ回りをしたり、9月9日に市議選を控える与党市議団の会合に参加したりするほか、今後は市普天間の事務所以外にも、市内に3カ所ほど拠点を構える考えだ。

 野党の選考が難航し、相手候補は依然として見えないが、陣営幹部は「相手の状況に一喜一憂することはない。とにかくしっかり準備を進めるだけだ」と意に介さない。別の幹部は「宜野湾市長選で無投票にするということは、知事選への影響があまりにも大き過ぎる。それは相手陣営も分かっているはずだ。絶対に誰かしらを立ててくる」と断言し、腕をまくった。
 (長嶺真輝)