くらし

犬譲渡 8割ボランティア 殺処分減の裏、団体疲弊「飼うなら最後まで」

 沖縄県内の飼い主がいない犬猫の殺処分数は減少傾向にある一方、犬猫を手放す飼い主が絶えず、ボランティアで保護する団体や個人が負担を強いられる状況が続いている。2017年度に県や那覇市で収容した犬の譲渡のうち、ボランティア団体や個人への譲渡は約8割。医療費や餌代などを自ら賄うボランティア団体のSNSでは、疲弊の声や引き取り手を探す投稿が連日上がっている。


「動物たちを守る会ケルビム」に保護され、新たな飼い主を待つ猫=宜野湾市の同団体施設

 県保健所と那覇市環境衛生課によると、2016年度の犬の収容数は1278頭、譲渡数は530頭で、そのうち76%の402頭が保護団体や一時預かりボランティアの個人に譲渡された。17年度は収容数が1098頭と減少したが、譲渡数612頭のうち、488頭がボランティアへの譲渡と、その割合は80%に上った。

 猫は16年度の収容数が1178匹、譲渡数は277匹。そのうち28%の78匹が保護団体などに譲渡された。17年度は収容数が1426匹に増え、譲渡数は215匹に減ったものの、ボランティアへの譲渡は92匹と43%に増えた。

 行政を通さず、ボランティア団体などに保護を委ねる飼い主も多い。

 沖縄市の住宅兼施設で飼い主がいない犬50頭を預かる「スマイルパウズ」。飼い主が病気や高齢で飼えなくなった犬も多いが、「手に負えない」と手放された犬もいる。保護すると餌代と予防接種などで1頭4~5万円、腫瘍があると1頭10万円の負担がかかり、寄付だけでは賄えない状態だ。

 同団体では、週1回の譲渡会で引き取り手を探すが、見つかったのは犬猫含め1年で40件。代表の中原寿野さん(36)は「飼ったら最後まで大事にしてほしい」と訴える。

 宜野湾市の「動物たちを守る会ケルビム」が運営する動物病院に、保護した猫がキャリーケースで運び込まれた。「ナミは猫カフェの前に捨てられていて、ククルは国道にいて…」。代表の中村吏佐さん(57)が説明する。ケルビムは、うるま市や宜野湾市の施設で、合わせて常時約100頭の犬と約400匹の猫を保護している。17年は犬107頭、猫392匹に新しい飼い主が見つかった。「生態を分かって飼わないと手遅れになる」と忠告した。

 猫の避妊去勢手術(TNR)の啓発活動に取り組む畑井モト子さん(38)は「行政が収容していた数字が保護団体に移動しただけ」と現状を嘆く。県が新たに計画している譲渡専用の施設も「飼い主の意識が変わらなければ飼えない犬猫がただ集まる場所になる。動物の遺棄は犯罪。警察との連携も必要だ」と指摘した。

 (田吹遥子)