9月9日に投開票日が集中する統一地方選は、2日の名護、沖縄、宜野湾、石垣、南城の5市議選告示まで1週間に迫った。30日には沖縄県知事選、宜野湾市長選を控え、前哨戦も熱を帯びてきている。告示を控えた各市議選の情勢などをまとめた。 (統一地方選取材班)
<名護市>過半数巡り攻防激化
【名護】名護市議選は、今選挙から定数が1減の26となり、過半数の14議席を巡って与野党の激しい選挙戦が予想される。現在の議会構成は与党13、野党14で少数与党となっており、渡具知武豊市長の下、議会構成が焦点になる。名護市議選の行方は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める安倍政権も注視しており、9月30日投開票の県知事選の「前哨戦」とも位置付けられている。
市議選には現在、現職21人、前職1人、新人10人の32人が立候補する見込みだ。渡具知市長を支える与党は、現時点で17人が立候補を予定。自民系会派は現職8人と前職1人、新人6人の15人を擁立する。公明は、辺野古移設反対を掲げながらも、移設を事実上容認する渡具知市長を支える立場で現職2人が出馬する。2月の名護市長選と同様、市外企業がてこ入れを図り票の取り込みを狙う。自民系会派は立候補予定者が多いため「死に票」を出さないよう、票の振り分けも視野に入れる。
一方の野党は、現職11人と新人3人の14人が立候補を予定。このうち野党だった現職1人は、今選挙では、中立的立場として挑む。野党は票の分散を防ぐために最低限の立候補者数で挑むが、1人でも落選すれば少数野党となる可能性もあり危機感を持って臨んでいる。このほか、新人1人が野党的立場で立候補を予定している。
<宜野湾市>市長選とセット戦展開
【宜野湾】定数26の宜野湾市議選には現職18人、新人10人の計28人が立候補を予定している。現状の議会構成(欠員1)は与党14人、野党8人、中立3人で、立候補予定者の内訳は与党16人、野党8人、中立4人。与党の過半数維持は確定的だが、与党は議席数拡大、野党は現有議席維持を狙う。
地域別では、普天間、新城が各3人、喜友名、野嵩が各2人と、市北部の隣接する地域だけで計10人が出馬を予定する。与野党、中立系が入り乱れているため、最激戦区となっている。また、それぞれ与党系3人が立つ大山、大謝名も接戦が予想される。
9月30日投開票の県知事選には前宜野湾市長の佐喜真淳氏、同日選の宜野湾市長選には佐喜真氏の後継として松川正則副市長が出馬するため、与党系は既にセット戦術を展開。それぞれの事務所開きや総決起大会に出席するなど相乗効果を図る。一方の野党系も、知事選、市長選の候補者が確定次第、セット戦術を展開する構えだ。
<石垣市>勇退地盤で激戦 県議補選連携も
【石垣】石垣市議選には定数22に対して、現職15人、前・元職4人、新人11人の計30人が出馬を予定している。各立候補予定者とも地元での地盤固めを図るほか、無党派層の取り込みなど激しい前哨戦を展開している。
現在の市議会構成は与党系11人、野党系・中立11人。今回の市議選には与党系16人、野党系11人、中立3人が立候補する予定だ。
各立候補予定者は、与野党問わず、子育て支援や地域活性化など市民生活向上に向けた取り組みを訴えの重点に据える。与党系は中山義隆市長と連携した経済振興をアピールする一方で、野党系は陸上自衛隊の配備反対を政策の柱の一つに掲げる。
県議補選・石垣市区(欠員1)も9月30日に投開票されることから、立候補予定者には、県議補選との連携も視野に入れた動きもある。また、今回の選挙では現職7人が引退や立候補見送りを決めており、その地盤を巡る集票合戦も激しくなりそうだ。
<沖縄市>少数激戦へ前哨戦活発
【沖縄】沖縄市議選は定員30に対し、現職24、前職3、新人9の36人が立候補を予定している。前哨戦も活発で、現職は地域の会合など地盤固めに奔走する一方、新人はSNSも活用するなど知名度向上に力を入れている。
立候補予定者のうち、与党が23人、野党が9人、中立は4人。前回選挙の立候補者より3人少なく、少数激戦の様相だ。
2期目の桑江朝千夫市長の評価も争点となる。桑江市長が進める1万人規模の多目的アリーナ建設を巡っては、市議会で与野党の激しい攻防が展開された。
現在の市議会構成は与党16人、中立・野党11人で、与党は勢力拡大を狙う一方、野党は現有議席維持・拡大させ、与党に迫りたい構えだ。
<南城市>与党議席増 大里が鍵に
【南城】南城市議選は、定数20に対して現職15人、新人10人の計25人が立候補を予定している。現在の議会構成は与党系3人、野党系13人、中立4人と、少数与党だ、1月の市長選で当選した瑞慶覧長敏市長を支持する与党系が、どこまで議席を増やせるかが大きな焦点だ。25人のうち、与党系7人、野党系13人、中立5人が立候補を予定している。
今回の市議選では、立候補を予定する25人のうち、11人が大里地区に集中し、激戦となりそうだ。11人の内訳は、野党系現職4人、保守陣営の支援を予定する新人2人に対し、瑞慶覧市長支持または支持者らが擁立した新人が4人。中立が1人。大里地区は合併前の旧4町村の中でも最も人口が多く、瑞慶覧市長の地盤でもあり、与党の議席増の鍵を握るとみられる。