沖縄セルラー電話(那覇市)とKDDI(東京都)、倉敷紡績(クラボウ、大阪府)は28日、沖縄県那覇市東町のKDDI那覇ビル解体工事現場で、クラボウが開発したIoTスマートウェア「Smartfit」を活用して沖縄独自の環境に合わせた熱中症リスク低減のための解析方式(アルゴリズム)開発実証事業について発表した。建設現場の作業員の生体情報(バイタルデータ)を収集、解析し、沖縄に適した熱中症リスク管理のシステム構築を目指す。
ウエアに装着されたセンサーが建設現場作業員の心拍や衣服内温度、体の動きを表す加速度を計測し、スマホを通じてクラウドサーバーに送る。気象情報を加味し、クラウド上で解析した作業員ごとの熱中症リスクを作業員本人のスマホと管理者のタブレット端末などに通知する。気温など環境情報のみだった従来の評価方法に比べ、生体情報解析によって個人の負担や作業強度、体調なども評価でき、より正確なリスク管理が期待できるという。
解析データを県のIoT基盤に保管し、県内の熱中症対策に利活用していく。10月以降に県から受託し事業を始めるが、6日からプレ事業としてデータ収集などを始めている。
クラボウは5月から全国で20社以上にサービスを提供している。沖縄は5、6月に湿度が高くなり、特に6月の熱中症発症率が高くなるなどの特徴があり、独自の解析方式を開発することでより環境に適したシステムを構築する狙いがある。今後、データ収集や解析、課題解決を経て2020年ごろの事業化を目指す。
実証事業では、KDDI那覇ビルの解体工事現場や沖縄セルラーau基地局工事現場などで、合計17人の作業員が着用する。
沖縄セルラー電話の山森誠司常務は「工事を一生懸命やっている現場の皆さんのために何かできないかと考えた。素晴らしい商品なので、さらに沖縄に適したシステムにすることで、安心安全な社会になるよう貢献したい」と語った。