市町村議員の姿 まちづくり 住民の代弁者


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 9月9日を中心に、県内29市町村で実施される議会議員選挙。住民の代表として議会で執行機関を厳しく監視し、住民が暮らしやすいまちづくりを目指すのが議員の役目だ。県内41市町村の議員定数は645人(2018年8月現在)。各市町村議会事務局へのアンケートなどを基に議員の役割や活動のほか、年代や性別、報酬、政務活動費など議員の姿を紹介する。

(統一地方選取材班)


 議会活動は?

年4回定例会に臨時会も

 議会は年4回の定例会と、必要に応じて開かれる臨時会がある。議員全員が参加する本会議では、首長ら執行機関に対し一般質問するほか、首長が提出した予算案や条例案など審議し議決する。また意見書や決議なども審議、議決する。

 議会で取り扱う問題は多岐にわたるため、部門に分けて審議する委員会を設置する議会もある。各委員会の審議結果は、本会議で報告され最終的に議決する。


議員の1カ月の報酬は?

政務活動費は24市町村支給

 11市で1カ月の報酬額が最も高いのが、那覇市の58万6千円だ。最も低いのは南城市と宮古島市の34万2千円。30町村では南大東村の15万7千円が最も低く、人口2万人以上の町村でも平均23万7500円にとどまっている。

 議員が議会や委員会に出席する場合などに支給される「費用弁償」も市町村によって支給の有無や金額に差がある。支給しているのは30市町村で、距離に応じた支給や1日当たりの金額を設定しているところも多い。

 議員の調査研究、研修などの経費として議員報酬とは別に24市町村で政務活動費が支給されている。最も高いのは那覇市の9万円。同市は県内で唯一、政務活動費の使途が分かる領収書をインターネット上で公開している。一方、浦添市や沖縄市など6市町村は情報公開請求が必要となっている。


議会以外で何してる?

地域課題調べ ボランティアも

 議員は、定例会と臨時会以外では何をしているのだろうか?

 議員の主な仕事は、議会を通して住民の意思を行政に反映させ、住民生活を向上させることだ。そのため議員は、地域の課題を細かく調査したり、住民の要望や困っていることなどを聞き取ったりしている。課題解決に向けて、年4回の定例会の「一般質問」の準備のために調査・研究している。議会によっては委員会が開かれることもあり、県内外の先進地に視察に行くこともある。

 議員の中には、会社員や自営業、農業など兼業の人もいる。

 また、PTAや地域のボランティア活動に汗を流したり、地域の行事に積極的に参加したりするなど、住民の代表として住みやすい地域づくりに日々奮闘している。


一般質問って何?

小規模議会で少ない傾向

 地域の課題などを質問し、行政の認識や今後の対応などの回答を得る一般質問。年4回の定例会で議員にその機会があり、議員の貴重な発言の場だ。原則として、どんな質問をするのか事前に「通告」する。

 小規模の町村議会では質問に立つ議員数が少ない傾向にある。2017年度は、渡名喜村議会(定数7)の9月定例会で質問者0人だった。南大東村議会(同8)と北大東村議会(同5)、伊平屋村議会(同8)では質問者1人の定例会もあった。


4期以上の議員割合は?

4村議会で5割超える

 今年5月時点で、41市町村議会のうち国頭村、伊江村、渡名喜村、北大東村の4議会で、4期(16年)以上の議員が全体の5割を超えた。一方、南城市や竹富町など10の市町村議会では、4期以上の議員の割合は2割以下で、市町村によって差が見られた。


▼ 議会と市町村長、住民の関係は?

 首長と議員は、住民によって直接選ばれる。議員で構成された議会と首長は、対等な立場にある。

 議会は、地方自治体の行政を執行する首長や教育委員会などの執行機関を厳しく監視し、疑問や意見を出して、行政が適正に運営されるようにすることが役割だ。議会は執行機関が提出した予算案や条例案などを議会で審議し、最終的に決定する。


▼ 気軽に政治参加できる方法って?

 都道府県や市町村の議会は地方自治法115条に基づき、原則公開となっている。市町村議会を傍聴すると、民主主義を間近で感じることができる。傍聴は、ほとんどの議会では議場に入る前に、氏名や住所などを記入して手続きをすればOK。近年はインターネットで本会議を中継する議会も増え、県内では現在、9市8町村が実施している。

 また、市議会は取り扱う問題が多く、内容も幅広い分野にわたるので「委員会」を設置して審査している。町村でも委員会を設置している議会もある。委員会の審議も本会議同様の手続きで傍聴可能な議会や、委員長の許可があれば傍聴できるところもある。ぜひ議会に足を運んでみよう!

参考資料:第63回町村議会実態調査集計表(沖縄県町村議会議長会)


識者評論

政策磨き、問う選挙を 住民の声反映で得る信頼
照屋寛之氏 沖国大教授

 議員は選挙で公約を掲げるが、どの程度実現されたのかが見えにくい。公約の実現度を議員自ら公表することが有権者の信頼を勝ち取ることにもなる。

 住民の代表として議案審議や行政のチェックをするのが議員の仕事だ。だが、実際の議会では住民生活に関わる政策的な条例制定はほとんど行われていない。当局の提案を修正・否決することなく、そのまま追認する「首長の追認機関」になりがちだ。福祉や教育、育児、基地問題など住民生活に直結するような課題について、有権者の声を反映した政策を提案し、条例化できれば、住民からの期待は高まるだろう。

 市町村議会議員選挙は候補者の政策や公約よりも、地縁・血縁が重視されがちだ。だが、それでは本当の意味で住民を代表する議会にはならない。磨かれた政策で選挙を戦うという自覚を候補者は持つべきだ。有権者も地縁・血縁を超え、政策や公約をよく検討し、候補者本人に議員としての力量があるのかを見極めて1票を投じることが大切だ。同時に、その後の議員活動も注視することが、住民を代表する議会にすることにつながる。

 選挙後の公約の実現度に加え、議会報告会を開催し、議会活動を住民に説明することも議員には求められる。各議案への賛否など住民の代表としてどのように活動しているのかを公表することにも真剣に取り組むべきだ。

 執行機関である行政に対して、今以上に議会機能を強化しなければ、議会への関心はさらに低くなり、投票率の低下につながる。議会の存在意義が問われている今こそ、積極的な議会改革も視野に入れた選挙戦が展開されるべきだ。

(政治学)