【名護】9月2日に告示される名護市議選を前に、名護市選挙管理委員会は、名護署と共に違法のぼりや横断幕を掲示しないよう立候補予定者に注意や警告するなど、公職選挙法に基づく選挙の実施を求めている。名護市では、2月の市長選でも違法のぼりや横断幕が目立ったほか、公選法で禁止されている有権者による電子メールでの投票呼び掛けなどがあり、市選管などは有権者にも注意を促している。
■マナーの悪さ
「所有者が誰かも分からないので、警告のしようがない」。市選管の玉城健雄さんはあきれるように言った。市長選から半年以上たった8月27日現在、市内では、市長選で掲げられた違法な横断幕がいまだに撤去されないままだ。市長選での選挙事務所はすでに解散しており、違法掲示物は誰も撤去できずに放置されているのが現状だ。
市長選では、のぼりの違法設置や誹謗(ひぼう)中傷のビラなど、両陣営で公選法に抵触する恐れのある行為が散見され、市選管や名護署がそのたびに警告していた。市長選で名護署による警告は、69件に上った。
名護市議選でも、告示を前に、名護署はすでに20件を警告しており、市選管には市民から苦情が届いている。市選管は「氏名の入ったのぼりをもって朝立ちをしているなどの苦情がある。事前運動も禁止されているが、有権者、候補者ともに公選法が正しく理解されていない」指摘する。
■ネットの注意点
公選法では告示前や任期満了の6カ月前からは、候補者名や候補者名が推測される事項の掲示は禁止される。市選管は、6月から立候補予定者に直接文書を送付したり、市広報を通じたりして、地道な周知活動を続けている。
一方、ネットでの選挙活動には、制度の分かりにくさもある。市長選では、現職の市の部長級職員が特定の候補者への投票を呼び掛けるメールを職員に送ったとして、訓告処分になった。公選法では、有権者によるメールでの投票呼び掛けは禁止されている。
投票率向上や若者の政治参加を促そうと、2013年に解禁されたインターネット選挙運動だが、候補者でない18歳以上の有権者による特定の候補者への投票呼び掛けは、メールは禁止されているものの、LINEやツイッターでは可能となっており、制度の分かりにくさが指摘されている。
市長選では両候補とも、LINEやフェイスブックなどのSNSを活用した選挙運動を展開。名護市内の若者を中心に選挙情報発信のツールとして、盛り上がりを見せた。ネット選挙運動は投票率向上に寄与する一方、制度周知を徹底させる難しさもある。市選管は立候補予定者に対し、ネット選挙運動についても注意を呼び掛けている。
(統一地方選取材班)