くらし

80歳“少年”「江戸上り」逆行  比嘉良治さん 「教育や社会への反抗」 3ヵ月かけ故郷へ

カメラを片手に「江戸から琉球の旅」に出発する比嘉良治さん =米ニューヨーク

 【ニューヨーク=座波幸代本紙特派員】「80歳の悪遊び」と、少年のような笑顔を見せる米ニューヨーク在住の芸術家、比嘉良治さん(80)=名護市宮里出身、ロングアイランド大名誉教授=が31日から「江戸から琉球の旅」に出発する。61歳で自転車での米大陸横断、70歳で北欧からモロッコまでの自転車一人旅を成し遂げた比嘉さん。「何かとてつもないことをやりたい」と、いつもむずむずしている80歳の少年は「教育や社会への反抗」として、「なぜ歴史は古いことから学ばないといけないのか。琉球の時代『江戸上り』と言われた歴史の道のりを逆から歩いてみたい」と、3カ月間かけて歩いて東京・日本橋から東海道、四国・九州を回り、沖縄を目指す旅に出る。

 「今回は自分のための旅。自分の意思で体力と資金力を見ながら歩いてみる。待ってくれている人がいれば励みになる」と、江戸上りの途中で亡くなった琉球人の墓がある静岡や大阪、京都を回り、四国では豪雨被害に遭った怒和(ぬわ)島の子どもたちを元気づける予定だ。高校の恩師の母校のある奄美大島を回り、11月下旬に沖縄本島への到着を目指す。

 1938年、父の仕事の関係で台湾に生まれ、その後、名護に戻った。「君たちには何か誰よりも優れたところがある。それを見つけろ」という小学校の恩師の言葉をきっかけに、小6で「僕は絵を描いて生きていこう」と決意。「授業をさぼって絵ばかり描いていた」という名護高校時代を経て多摩美術大洋画科を卒業。25歳でニューヨークへ渡り、額縁屋のアルバイトや大学の講師などをしながらコロンビア大大学院を修了した。

 その後、ロングアイランド大学で写真と絵画を教え、最優秀教授賞も受けた。定年を機に「好きなことだけしていこう」と、冒険をスタートさせた。

 「還暦+1の単独 アメリカ大陸横断・自転車の旅」と題した自転車旅行は写真器材やテント、寝袋を積み、シアトルからニューヨークまで8千キロ以上を走破した。旅でロングアイランド大に設立した沖縄センターの基金と、日米の若いろうあ者のための交流基金への寄付を呼び掛け、「その人がやりたいこと、ゴールを達成するのを手伝うことが僕のできること」とひょうひょうと語る。

 小さい頃から走るのが苦手だったが、62歳でマラソンを始め、フルマラソンを何度も完走した。料理を学びにフランスにも渡り、今もホームパーティーには自慢の手料理が並ぶ。
 本紙の海外通信員をしながら、常に故郷沖縄のことを気に掛けている。宮古島市来間島の子どもたちと共に島内の景色を撮るフォトプロジェクトなど、沖縄の子どもたちを応援する活動にも多々取り組んでいる。

 「お世話になった先生たちは亡くなり、恩返しができなくなってしまった。次の世代のために、できることをやっていきたい」と話している。



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