2018年の統一地方選で、候補者の経歴や政策などをまとめた「選挙公報」を発行しているのは、議会議員選のある29市町村のうち12市町村であることが琉球新報社の調べで分かった。2014年の選挙から4市町村が新たに発行したが、依然として半数以下にとどまる。識者は「選挙公報は投票の一つの手掛かりとなり、選挙をする上で最低限必要なものだ。積極的に取り組む必要がある」と指摘している。
議員選挙がある29市町村選管のうち、選挙公報を発行または発行を予定しているのは、うるま市、沖縄市、宜野湾市、南城市、北谷町、西原町、南風原町、八重瀬町、今帰仁村、読谷村、北中城村、中城村の12市町村。南城市、北谷町、八重瀬町、今帰仁村が今回の選挙で新たに発行した。
選挙公報は、公職選挙法に基づき選挙の際に各選挙管理委員会が公費で発行する。国政選挙や知事選では発行が義務付けられているが、市町村の首長選と議員選での発行は任意となっている。発行するためには条例制定が必要となる。
発行しない市町村は「小さい島なので、候補者は知られている」(与那国町)、「期日前投票が多く、発行しても有権者が投票を終えている可能性がある」(名護市)、「告示から投開票までの期間が短い」(恩納村、東村など)などの理由を挙げた。総務省の調べによると、17年末時点の市区町村の議員選挙では全国1741自治体のうち、約6割の1161自治体が発行している。県内では41市町村のうち発行のための条例を制定しているのは14市町村と約3割にとどまっている。
選挙制度に詳しい沖国大の照屋寛之教授は「自分の地域でも選挙が実施されていると有権者に当事者意識を持ってもらえる」と、選挙公報発行の意義を強調する。その上で「情報を詳細にまとめ一覧にして提供できるのは公報しかない。県内では選挙公報に対する理解が不足しており、(各市町村の)意識改革が必要だ」と指摘した。
(統一地方選取材班)