心一つに 伝統芸能奉納 多良間村「八月踊り」 きょうまで多彩に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
組踊「忠臣仲宗根豊見親組」で、与那国島の鬼虎を討って宮古に戻る仲宗根豊見親(手前)と美人姉妹ら=17日午後、多良間村仲筋の土原御願所

 【多良間】国の重要無形民俗文化財に指定されている多良間村の豊年祭「八月踊り」が、旧暦8月8日にあたる17日から始まった。19日まで。初日は同村仲筋の土原(んたばる)御願所で組踊や狂言などが奉納された。18日は同村塩川のピトゥマタ御願所で行われ、最終日には両字で芸能が奉納される。

 土原御願所では組踊の「忠臣仲宗根豊見親組」や「忠孝婦人」のほか、狂言などが奉納された。「忠臣仲宗根豊見親組」は、16世紀に宮古の支配者だった仲宗根豊見親が与那国島の鬼虎を討伐する様子を描いた組踊で、多良間でしか演じられていない。勇壮な立ち回りや、時折組み込まれるコミカルな演技に、詰め掛けた観客は歓声を上げるなどして大いに盛り上がった。

 美人姉妹の妹役・クイガマを演じた津嘉山陽菜(はるな)さん(12)=多良間小6年=は「上演時間が長くてきつかったけど、思い通りの演技ができた」とほっとした表情で語った。仲筋字会の垣花満会長は「毎年、多くの観客の皆さんの温かい気持ちが踊り手にも伝わっている。会場全体で継承されてきた文化を楽しんでもらいたい」と話した。