選管が認めていないビラ、電柱に貼られたポスター、大人数での街頭演説、道沿いに並ぶのぼり―。公職選挙法では、選挙期間中にできる運動が細かく定められているが、今回の沖縄県知事選でも違反と指摘される選挙運動が横行している。県選挙管理委員会は「違反の疑いがある行為が多い」とする。県警は19日までにポスターやのぼり、横断幕などの違法掲示物46件に対し警告した。
本島の県立高校の入り口前の建物に19日、OBの候補者の名前とともに「卒業生を県知事へ」などと書かれた約10メートルの2枚の懸垂幕が掲げられ、撤去する事案があった。同校教頭は「高校の案内表示と並べられて掲示され、公的な学校が特定の候補者を応援しているように見える」と懸念。高校は県選管や警察署に撤去を求め、19日中に2枚のうち特定の候補者名が書かれた1枚が撤去された。
公選法では、候補者の名前が書いてあるのぼりや看板は、個人演説会で五つ、選挙事務所に三つなど限られた場所と個数でしか掲示できないと定めている。道路にあるものは公選法違反に当たる可能性が高い。道路や電柱の管理者に無断で設置することは、道路法や屋外広告物条例にも抵触する。
のぼり以外にも、配布できるビラの数は14万5千枚で、配布方法も個人演説会の会場や選挙事務所内、新聞折り込みなどと定められている。さらに選管が交付するシールを貼っていなければならない。単独でポストに入っているビラは違反に当たる可能性が高い。そのほか、街頭演説に従事できるスタッフは15人までで、腕章を着けなければいけない。戸別訪問も禁止されているなどさまざまな規定がある。
県選管は、取り締まりは県警が担うとし、「違反の疑いがある行為が多い。法に定められた範囲で適正公平に選挙運動をしてほしい」と呼び掛けている。
県警は「必要な場合は公職選挙法などの規定に基づき、違法な掲示物などに対して警告などを行い、違法状態の除去を図りたい」と述べた。
(’18知事選取材班)