宜野湾市長選 政策アンケート(上)基地・振興 「普天間」移設で違い


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(左から)仲西春雅氏 松川正則氏

 30日投開票の宜野湾市長選に向け琉球新報は、立候補した県高校PTA連合会前会長の仲西春雅氏(57)と前宜野湾市副市長の松川正則氏(65)に政策アンケートを実施した。基地問題や経済振興など訴えの違いや独自政策を紹介する。

 市の最重要課題である米軍普天間飛行場に関しては、両氏とも早期の閉鎖・返還を訴える点で一致している。一方、名護市辺野古への移設では、飛行場の無条件閉鎖を訴える仲西氏が「新基地建設は一度も県民に承認されていない」として「反対」と回答。移設先については「国の専権事項」としている松川氏は「基地を抱える本市から移設先について意見を発信することは差し控える」と明言を避け、違いがある。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備については、両氏とも事故の多さを懸念し「配備撤回」と答えた。

 西普天間住宅地区跡地利用では、琉球大学病院が移転する現計画の「沖縄健康医療拠点」形成を進める点では一致したが、仲西氏は「琉大病院の最高水準の医療と市民病院の要素を加味し、裾野の広い医療、福祉の場に事業を拡大する」として「発展的再考」と回答した。これに対し松川氏は「現計画は強力に推進する」とした一方で「総理大臣より拠点返還跡地に指定されており、県事業が一つも入っていないのが残念」と県の対応を批判した。

 地域活性化策では、仲西氏は「市内の商工業者の育成、支援を兼ねて住宅リフォーム補助制度を創設する」とし、松川氏は「各地域の道路、公園など基盤整備を実施し、活性化を図っている」と答えた。経済振興について、仲西氏は西海岸地域でのマリンレジャーの発展や田イモの6次産業化の推進、松川氏は情報通信産業施設の建設や田イモスイーツの開発による「スイーツのまち」宣言など、それぞれ独自策も掲げた。


仲西春雅氏(57) 無所属・新人

米軍普天間飛行場移設・返還問題についての考え方は

「辺野古が唯一の解決策」には疑問を感じており、移設ではなく2019年の運用停止を経た閉鎖・返還が解決になると考えている。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非とその理由、考え方は。

「反対」

稲嶺県政では「軍民共用」、「15年以内使用期限」。仲井真県政では「県外移設」と過去を振り返って、現行の辺野古新基地建設は一度も県民に承認されていない。以上の理由から基本的に県内移設は不要、反対だが、日本国民がどうしても代替の移設先が必要というならば、「国外・県外移設」で対応するべきである。

垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備の是非と考え方は。

「撤回」

操縦難度が高く、危険性が高い機種と認識している。配備自体反対で、早期の撤去を求めていく。また、それ以外の機種についても老朽化、整備不良、整備体制の低下が見られ、普天間基地自体の閉鎖が必要。

西普天間住宅地区跡地利用の現行計画の是非とその理由は。

「その他」(発展的再考)

普天間高校の移転が断念され、琉大医学部+琉大病院、緑地、宅地だけになってしまったのは残念である。同病院の最高水準の医療と市民病院の要素を加味し、リハビリ、介護に至る裾野の広い医療、福祉の場に拡大したい。」

「普天間門前町構想」の是非と、その理由、考え方は。

「推進」

「普天間飛行場周辺まちづくり」事業は、本市の「精神文化」、「生活文化」を連携させた交流拠点の形成を図るもので、推進すべきと考える。

その他、独自の市街地活性化策は。

市内商工業者・育成、支援を兼ねて、住宅リフォーム補助制度を創設し、住環境改善を支援する。

どのように企業誘致・雇用創出を図っていくか。

コンベンションエリアに各種イベントを定着させる。連続性を阻害している仮設避難港周辺の開発はマリンレジャーのメッカを目指すオーシャンフロントリゾートを展開し、同時業者の進出の受け皿を整備する。担当部局を強化し、宜野湾市観光基本計画を策定する。

市の特産である田芋の振興についての考え方は。

大山ターンム地区の保全と開発を進め、田イモの一層のブランド化、6次産業化を推進する。また区画整備事業も進め、生産者の支援に取り組む。


松川正則氏(65) 無所属・新人

米軍普天間飛行場移設・返還問題についての考え方は

普天間飛行場から発生する諸問題の解決は、一日も早い同基地の閉鎖返還、および、それまでの間の市民負担の軽減であり、国、県、市で構成する「普天間飛行場負担軽減委員会」で議論を重ねていくことが、本市の取れる手段である。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非とその理由、考え方は。

「その他」(意見を述べることは控える)

移設先は、世界一危険な普天間飛行場の危険性の除去のために日米両政府が議論を重ねて決定したものであるが、同基地を抱える本市からその移設先について意見を発信することは差し控えたい。今般の県による埋め立て承認撤回の今度の動向を注視していきたい。

垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備の是非と考え方は。

「撤回」

本県において幾度となく事故を起こしている期待であることも踏まえ、県外移駐を含めて、配備撤回を訴え続けている現状である。

西普天間住宅地区跡地利用の現行計画の是非とその理由は。

「推進」

この地区は跡地推進法施行以降、最初の広大な土地の返還がされた所で、他の跡地のモデルとすべく、総理大臣より拠点返還跡地に指定されており、「沖縄健康医療拠点」と銘を打ち、最重要プロジェクトとして実施しているところである。

「普天間門前町構想」の是非と、その理由、考え方は。

「推進」

現在は、普天間飛行場周辺整備事業として、旧真栄原新町地区も合わせた開発計画となっている。両地域の地権者など権利者の生活支援も含めて、まちの再開発を実施しているとこである。

その他、独自の市街地活性化策は。

各地域の道路、公園など基盤整備を実施し、地域の活性化を図っている。西普天間住宅地区の跡地利用を強力に推進し、沖縄健康医療拠点形成を実現し、普天間飛行場の跡地利用計画を推進する。

どのように企業誘致・雇用創出を図っていくか。

民間経済の推進を図るべく総合経済産業支援センター、情報通信施設、田いも出荷施設などの建設に取り組むとともに、企業誘致などにより、若者が働く場を創設し、市内就業人口を倍増させる。

市の特産である田芋の振興についての考え方は。

田芋生産者組合との共同で、毎年2月6日を「ターウム」の日と定めたほか、田芋出荷施設などの建設、生産後継者の育成などを実施している。さらに「スイーツのまち宜野湾」を宣言し、菓子店、レストランなどで田芋を素材にしたスイーツ開発を推進する。