宜野湾市長選 争点を探る(3) 経済振興・地域活性化 商業地域の再興課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
子育てや健康増進機能を備えた施設整備が計画されている市真栄原の社交街=25日、宜野湾市

人手不足対策にも注目

 約10年前、違法風俗店が並んでいた宜野湾市真栄原の社交街、通称「新町」。住民や宜野湾署による取り組みが奏功し、閑静な地域に変わった。2016年度から始まった宜野湾市「普天間飛行場周辺まちづくり事業」で、子育てや健康増進機能を備えた施設整備を予定している。

 市真栄原に自宅を構え30年以上になる女性(75)は「(以前は)夜に出歩けないほど危険な街だった。今は夜も歩けるし昔よりだいぶ安全だ」と話す。一方、街のイメージ脱却も課題に残る。「安全な街になったのはいいけど、昼も夜も人がいないし真っ暗で逆に怖い」と様変わりした街を見詰める。願うのは「とにかく安全な街」だ。

 まちづくり事業で同じく再開発を予定している市普天間の商店街。立ち並ぶ店舗は老舗が多く、地域住民の利用が多い。店を構えて半世紀以上になる衣料品店の女性店主(45)は「建物が古く空き店舗も多い。もっと新店舗が増えてほしい」と願う。常連客の大半が年配だ。「周辺に駐車場が少ない。年配の利用者は近くに止められる駐車場の方が便利だ」と周辺の整備も求めた。

 商業地域の建物は、いずれも老朽化が進み再建が課題だ。市長選に立候補した県高校PTA連合会前会長の仲西春雅氏(57)と前宜野湾市副市長の松川正則氏(65)とも、リフォーム補助制度の新設や空き店舗対策事業、商工業者の育成・支援をそれぞれ掲げている。

 市商工会は、独自で市内景気動向調査を実施している。17年10月~18年3月の調査によると、小売業やサービス業などの商業関連事業者の約半数が今後の売り上げ見通しとして「好転」を選択した。人口増加や好調な観光関連産業の影響で、個人消費の見通しも維持できると分析している。一方で、慢性的な人手不足を課題に挙げた事業者も約半数いた。

 仲西氏は、商工会など関係団体と連携した中小企業、小規模業者の支援策を掲げ、働き方改革をはじめ雇用の場の確保や質の改善を訴える。

 松川氏は、普天満宮周辺まちづくり事業の早期実現を掲げ、国道330号沿い中央通りの開発や在宅就業(テレワーク)の実現などを訴える。

 好調な観光関連産業を中心に、経済、地域振興に波及させることができるか。ニーズに合った中小事業者の支援や慢性的な人手不足対策などに注目が集まる。
(宜野湾市長選取材班)