宜野湾市長選 政策アンケート(下) 教育・暮らし 「高齢化」対応異なる


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(左から)仲西春雅氏 松川正則氏

 宜野湾市の喫緊の課題の一つ、待機児童問題では、仲西春雅氏(57)と松川正則氏(65)の両氏とも早期解消で一致する。だが、解消時期については異なり、仲西氏が2020年とし「認可保育園はもとより認可外保育園の支援策充実や保育従事者の待遇改善」を掲げる。これに対し松川氏は「認可外保育園の新築、増改築などの助成に取り組んできた」とし、2019年度の解消を見込む。

 学校給食費の助成では、仲西氏は無料化を掲げ「安全で安心できる学校給食の実現」を訴える。松川氏も無料化を掲げるが「財源との兼ね合いを図りながら無料化に向け拡充を図る」と段階的な拡充を目指す。

 暮らしの点では、独自政策をそれぞれ訴える。高齢化社会の対応策に仲西氏は「バリアフリーの街づくり、健康増進と生きがいづくりを図り老人福祉センターの機能強化」、一方の松川氏は「既に実施しているシルバーパスポート事業の加盟店拡大、サービス充実など」をうたう。

 翁長県政への評価は分かれた。仲西氏は「基地問題だけでなく、アジアの成長エネルギーを取り込んだ施策、子どもの貧困問題に対する施策など多くの県政の課題に取り組んだ」とし「評価する」と回答。松川氏は「基地問題を全国にアピールできた半面、国との裁判闘争を続けている状況は普天間飛行場の固定化の懸念が拡大するものだ」とし「どちらとも言えない」と答えた。

 安倍政権への評価も見解は異なる。仲西氏は「評価しない」とし「近隣諸外国との相互理解を不足させ、武力の抑止力による不要な緊張を誘導している」と懸念を示す。松川氏は「評価する」とし「長期安定政権としてトランプ政権発足や中国との尖閣問題などに取り組み、経済政策も安定している」との認識を示した。


仲西春雅氏(57) 無所属・新人

待機児童問題の対応について。

認可保育園はもちろん、認可外保育所の果たす役割を評価し、支援案を充実させる。また、保育従事者の待遇改善を図っていく。待機児童解消時期は2020年。

学校給食費の助成についての考え方は。

安全で安心できる学校給食を実現し、学校給食費の無料化を目指す。

小中学校の少人数学級についての考え方は。

30人学級の実現。

子どもの貧困問題における市内の課題とその解決策は。

「宜野湾市子ども未来応援推進基金(仮称)」を設置し、国、県に加えて本市の給付型奨学金制度を創設する。

高齢化社会への対応策については。

バリアフリーの街づくり、「総合福祉健康増進センター(仮称)」の建設、整備を進める。また、健康増進と生きがいづくりのため、老人福祉センターの機能を強化する。

自治会加入率が低迷しているが、向上に向けた対策は。

地区自治会公民館の整備を支援し、触れ合う地域コミュニティづくりを進める。若者を対象とした人材育成の仕組みを充実させ、地域公民館にもその仕組みを広げていく。

職員数の定数についての考え方は。

「その他」

職員の定数の抑制における財政改革は今のところプライオリティは低い。それよりも経済振興による税収アップを解決策の優先手段として考えている。

1期4年後にあたる2022年の市債残高の目標と財政運営の考え方は。

目標値は「要精査」。2016年度は地方債残高約305億円、実質公債費比率は8・1%で、そこから悪化に向かう考えはないが、本市は老朽化施設の要改修が多くあることから、この財源確保は急務である。バラマキではなく、必要な投資には前向きに対応し、経済振興による税収アップで運営していく。

翁長県政の評価とその理由は。

「評価する」

基地問題だけでなく、アジアの成長エネルギーを取り込んだ施策、子どもの貧困問題に対する施策など、多くの県政課題に取り組んだ。今日の沖縄県経済の目覚ましい発展は翁長知事とそれを支える諸県職員の功績が大きい。

安倍政権の評価とその理由は。

「評価しない」

外交をおろそかにし、近隣諸外国との相互理解を不足させ、また武力抑止力による不要な緊張を誘導している。一国のリーダーとしての資質も資格もない。


松川正則氏(65) 無所属・新人

待機児童問題の対応について。

これまで国、県の補助制度を活用して、認可保育園の新築、増改築などの助成(本年度まで)をしてきた。本年度繰り越し事業分で事業完了となり、2019年度に待機児童が解消できる見込みである。

学校給食費の助成についての考え方は。

現在、市立小学校児童を対象として2分の1補助を実施しているが、財源との見合いで、無料化に向けて拡充を図っていきたいと考えている。

小中学校の少人数学級についての考え方は。

児童生徒の確かな学力を身に付けさせるには、個に応じたきめ細かな指導を行う必要があり、少人数学級を編成し、チームティーチングや学習支援員の派遣など、学習形態を工夫した教育を実施する。

子どもの貧困問題における市内の課題とその解決策は。

各小学校区児童センターの建設を推進し、子どもの居場所づくりを実現するとともに、NPOなどボランティア団体などとタイアップして、食事の提供、学習支援など、強力に推進する。

高齢化社会への対応策については。

既にシルバーパスポート事業を展開しており、加盟店の拡大、サービスの充実など、強力に推進するとともに、ミニデイサービスの拡充、介護予防教室への無料送迎バス事業を拡大する。

自治会加入率が低迷しているが、向上に向けた対策は。

毎年6月の自治会加入促進月間を設け、市内パレードを実施し、加入促進の機運向上に努めるとともに、宅建業組合などと協定を締結し、未加入者などにパンフレットの配布や加入増加実績自治会の表彰も実施している。

職員数の定数についての考え方は。

「その他」(状況に応じて増減)

地方分権などにより、国、県の仕事が市町村に移譲されてきており、現在職員数では対応できない部署がある。また、団塊の世代の大量退職により職員構成がいびつになっており、計画的な職員採用が必要な現状である。

1期4年後にあたる2022年の市債残高の目標と財政運営の考え方は。

地方債残高見込は302億1092万千円。今後掲げる政策の実現のためには財源確保が必要であり、市民負担の増加を招かないよう国庫補助金、市債の活用などを図り、経費の後年度平準化を図っていく。

翁長県政の評価とその理由は。

「どちらともいえない」

基地問題を全国にアピールできた反面、最高裁判決が出た後も国との裁判闘争を続けている状況は、普天間飛行場の固定化の懸念が拡大するものである。また、一括交付金など国の補助金の大幅な減額も、県民生活を考えて県知事が率先して確保すべきものである。

安倍政権の評価とその理由は。

「評価する」

長期安定政権として、トランプ政権発足、北朝鮮の相次ぐミサイル発射問題、中国との尖閣列島問題など、しっかり取り組んでおり、経済政策も安定していると評価できるものと考える。