厳しい財政、財源に課題
30年前に約7万4千人だった宜野湾市の人口は毎年増加が続き、今年8月末時点では9万8256人に達した。市役所の窓口業務などの行政サービスの需要が増える中、その質の維持や向上について市民からの要望も強い。
25日午後1時すぎ、住民票取得のため市役所を訪れた男性(77)=市愛知=は「窓口対応は丁寧でいい。ただ混雑する時はとても待つ。手続きはなるべく円滑に済ませたい」と求めた。引っ越し手続きを済ませた男性(35)=市嘉数=は「前にいた市町村の役所は昼の時間帯も窓口が開いていたけど、宜野湾は開いていない。仕事の合間も来られるから、開いていれば便利だ」と語った。
市長選に立候補している県高校PTA連合会前会長の仲西春雅氏(57)と前宜野湾市副市長の松川正則氏(65)は、それぞれ市民サービス向上に向けた政策を訴えている。
仲西氏は行政手続きのワンストップサービスや市長、市幹部と市民が直接対話する場の設置を訴える。
松川氏は市役所窓口全業務の昼食時間帯の開設や24時間対応のコールセンターの設置を訴える。
一方、総務省の調査によると、宜野湾市の人口1万人当たりの職員数(一般行政)は人口規模などが同じ全国70市の中で6番目に少ない(17年4月時点)。サービスの質を維持するための新たな取り組みと、職員の労働環境とのバランスをいかに図るかも問われそうだ。
市の財政に目を向けると、人口増加などで自主財源の基本となる地方税収入は年々増える一方、高齢化の影響などで扶助費が急増している。11年度に扶助費と地方税収入の額が逆転して以降、その差は年々開く一方だ。学校改築費の増加なども歳出を押し上げており、市は財政調整基金を中心とした積立金を取り崩すなどして対応している。
市財政課の担当者は「自主財源の確保や歳出の抑制に向け毎年取り組んでいる。効果が出ている取り組みを精査し、継続していきたい」と説明する。市では今後も学校や公民館の改築、西普天間住宅地区跡地利用など大規模な財政出動も見込まれるため、効率的な財政運営や税源確保が求められる。
財政運営について、仲西氏は「行財政改革の推進、健全な財政運営の確立、一括交付金の効果的な運用を図っていく」と訴える。松川氏は「国や県の補助金や交付金、政府資金の優良債を中心とした市債を十分に活用し予算編成していく」と訴える。
(宜野湾市長選取材班)