砂辺 いざ真の「王」へ パンクラス3階級制覇 DEEP 越智と対戦 30日、総合格闘技RIZIN


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総合格闘技イベント「RIZIN」へ向けて軽くスパーリングする砂辺光久=25日、那覇市首里久場川町のCROSS×LINEジム(ジャン松元撮影)

 総合格闘技団体パンクラスで3階級制覇を成し遂げ、現在のストロー級王者の防衛も含めて16連勝している砂辺光久(那覇市、CROSS×LINE所属)が30日に、さいまたスーパーアリーナで開催される総合格闘技イベント「RIZIN・13」に出場する。減量も順調の、衰え知らずの39歳は「試合を見た人があの試合はすごかったと思える内容にしたい。パンクラスや日本の軽量級、そして砂辺を知ってもらうため、多くのものを背負って挑む」と、静かな闘志をのぞかせる。 (嘉陽拓也)

 砂辺の相手は別の総合格闘技団体DEEPのストロー級王者・越智晴雄で、寝技や肘打ちありの総合格闘技ルールの53キロ契約で戦う。「(越智は)自分が勝ち越せなかった相手にも勝っているので格上だと思っている」と、慢心はない。

 中学時代からパンクラスに憧れ、慢性腎炎と診断されても薬を飲みながら、琉球大学プロレス同好会や一般の格闘サークルなどの大人らと鍛え続け、2001年にプロデビューした。「パンクラス王になる」と公言できるその強さでスーパーフライ、フライ、ストローとパンクラス初の3階級制覇を成し遂げた。格闘家とは別に、2011年の東日本大震災の被災地に公園の遊具を贈呈したり、16年から発達障がいの児童を対象とした「放課後等デイサービス クロスライン」を運営したりと、子どもたちのための環境づくりにも力を入れる。

 今回、RIZINの試合に出場するのは、本物の「王」になる挑戦の一つ。パンクラスで偉業を残しているが、ボクシングなど他競技と比較して知名度は低いと感じている。「プロレスと言えば、ジャイアント馬場やアントニオ猪木と言われるように、パンクラスと言えば砂辺と言ってもらえる存在になりたい」と、多くの人に認められる象徴としての「王」を目指す。 RIZINには昨年末、キックボクシングルールで出場し、アマチュアボクシング経験豊富な相手にKO負けを喫した。今回は2度目の挑戦だ。大勢の観客の前で圧倒的勝利を飾り、「入り口はRIZINの試合でも、そこから砂辺やパンクラスを知ってもらえれば」と語る。それは、沖縄における総合格闘家の発展も考えてのことだ。「活躍を知ってもらえなければ未来の選手が育たない。沖縄にいても強くなれるし、注目ある格闘技イベントに出場できることを証明する。あとは、昨年末に残せなかった結果を出すだけ」。他団体の異なるリングの上でも「キング オブ パンクラシスト」の意地を見せるつもりだ。