福井国体きょう本格開幕 悲願のVへ 視界良好 ボウリング少年女子・太


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 第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」は29日、福井市の9・98スタジアム(福井県営陸上競技場)で総合開会式を行い、全国の強豪が日本一を目指す大会が本格的に始まる。本国体への沖縄選手団は総勢302人。先行競技としてハンドボール、水泳(競泳、水球、オープンウオータースイミング)、バレーボール(ビーチバレーボール)、クレー射撃は既に競技を終えており、これらを除くと、25競技に選手195人を含め、計262人が出場する。台風24号の影響で28日午後7時現在、セーリングの29、30日の日程、カヌーの30日と10月1日午前の競技がそれぞれ中止となった。カヌーについては1日午後から3日で競技を実施する。セーリングの1日以降の日程は決まり次第、大会HPに更新される。

◇「三度目の正直」目標に成長

力強い投球を見せる少年女子の太琳華(中部商業高3年)=宜野湾市のギノワンボウル

 男女全種目で本国体出場を勝ち取ったボウリング。今や沖縄の「お家芸」ともされる中、めきめきと頭角を現す女子選手がいる。中部商業高3年の太琳華(ふとり・りんか)。強い精神力と一般男子に引けを取らない豪快な投球で、全国の頂点を狙いにいく。

 この春からの活躍が目覚ましい。3月の全国高校選手権(春高ボウリング)は個人総合と団体の県勢初の2冠を達成し、全国高校選抜(8月9日)も優勝。高校最大規模の全日本選手権(8月1日)は県勢で7年ぶりに3位入賞した。全国でも名前が知られるようになった今、勢いに乗ったまま、3年連続で国体に挑む。

 その国体ではいまだ入賞はなく、昨年は予選落ちだった。「三度目の正直」と覚悟を決め、この1年間努力し続けてきた。

 苦しい練習を続けられる理由がある。ボウリング好きの両親の影響で競技を始めたが、母親が昨年の国体前に突然倒れ、今も病床にいる。「お母さんが元気になった時に、うまくなっている姿を直接見せたい」。まっすぐな思いが彼女の急成長を後押しする。

 一番の持ち味は球速だ。一般男子とほぼ同じ平均27キロを149センチの身長から放つ。下地良信総監督は「27キロから30キロが最もストライクが出やすい。こんな女子選手はなかなかいない」と舌を巻く。

集大成となる国体に向け、意気込む太琳華

 スピードに加え、レーンのオイルの状態に合わせて投げられるようになった。県外大会ではオイルの変化が複雑になってくる。この1年はさまざまな状況を想定して投げ込んだ。「対応力」が向上し、ハイシリーズは「730から、792になった」と確かな成長を実感する。

 高校卒業後は、プロボウラー資格取得テストを受ける予定で、合格すると国体には出場しない。「最後の国体になるかもしれない。沖縄のためにも優勝して帰りたい」と話す。10本のピンを見詰める大きな瞳に覚悟が見える。

 (喜屋武研伍)