第73回国民体育大会・福井しあわせ元気国体は9日に総合閉会式で幕を閉じた。県勢は29競技に監督46人、成年128人、少年128人の総勢302人が参加した。男女総合成績(天皇杯)は43位となり、目標の30位台には届かなかった。上位入賞した競技を中心に今大会を振り返る。
◆沖縄県勢初の快挙
自転車成年男子スクラッチの平安山良希(北中城高―日体大)が、国体の同競技で県勢初優勝を飾った。落車で左半身を強く打ち、テーピングを巻いて試合に挑むなど不調だったものの、試合では次第に順位を上げて、逆転で日本一に。陸上少年男子Aやり投げでは南辰貴(石川高)が2011年の山口国体以来となる、県勢優勝を果たした。
◆頭角を現した競技
ライフル射撃では、県勢が競技別の総合順位で過去最高位となる7位に入った。前泊佳吾(興南高)が少年男子ビームライフル立射(30発)で優勝、同60発で準優勝と活躍。成年男子膝射50メートル(20発)は浜端瑛(興南高―明治大)が制するなど躍進した。中学生を対象として射撃教室で競技人口を拡大し、外国人のコーチの招聘(しょうへい)で長短期的な練習方法を学んだことも実を結んだ。
重量挙げでは競技別総合順位で昨年より1つ順位を上げて3位、女子は初めての1位に輝いた。16年の岩手国体で連覇が途絶えたが、女子育成を含めた強化策が実った。一方、有力選手が県外から出場していることもあり、今後も全階級での競技力底上げなどが総合1位の奪還につながる。
◆東京五輪目指し
2020年の東京五輪を目指す県勢の活躍も光った。重量挙げ成年男子69キロ級では東京代表の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)が4連覇、ボクシング成年男子ウエルター級で埼玉代表の金城大明(那覇高―東洋大出、自衛隊体育学校)が3連覇と県外から出場した県勢が活躍した。県代表ではレスリングで競技歴3年半の成年男子グレコローマンスタイル87キロ級の鶴田峻大(沖縄尚学高出、自衛隊体育学校)、昨年県勢初の高校主要全国大会5冠を達成した成年男子フリースタイル125キロ級仲里優力(北部農林高―日体大)が準優勝するなど力を見せた。選手らは2年後に向け、しのぎを削る。
◆総合30位台へ
今大会は総合成績が43位と昨年の愛媛国体の45位から2つ順位を上げたが、得点は670点から655・5点と落とした。渡嘉敷通之総監督は「ライフルや自転車など新競技に頑張りが見られる半面、これまで得点を取れていた競技で取れなかったのが痛い」と振り返る。今回の優勝競技はすべて個人で、得点の高い団体で入賞したのはなぎなたのみ。ハンドボール少年男女のまさかの初戦敗退もあった。九州ブロック大会で少年成年とも上位に入り、全種目で出場を決めたボウリングの団体種目で入賞がないなど苦戦した。けがで本番に挑む選手も多く、練習段階からのけが予防や、けがからの回復などを計画的に行う必要性も見えた。
目標の30位台に向けては、東京五輪出場を目指す成年選手と共に、来年に沖縄も会場となる南部九州総体に挑む少年選手の活躍が期待される。そのためには、競技団体や県が一体となった選手育成などの強化策が重要になってくる。
(福井国体取材班・屋嘉部長将、喜屋武研伍、嘉陽拓也、真崎裕史、ジャン松元、大城直也)