通信障害いまだ6000件 台風被害 農畜産業打撃も


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
海ぶどうの養殖作業をしながら、養生タンクに水や空気を循環させるパイプの修繕に追われる富山廣光さん=19日、南城市奥武

 沖縄県内各地に甚大な被害をもたらした台風24号の直撃から、20日で3週間。続けざまに来襲した台風25号が復旧を妨げ、さらに傷口を広げた。通信障害はいまだ6千件余りに上り、農業施設の復旧もこれからだ。不自由な生活を強いられる県民は少なくない。

 「和牛を20年以上育てているが、これほどひどい被害は初めてだ」。南城市佐敷の松川寛成さん(76)は、倒壊しかけた牛舎で折れた柱や柵の修繕に追われている。修繕費は2千万円以上で「本気で辞めようと思った…」。それでも「息子に励まされ、友人も片付けを手伝ってくれている」と前を向く。同市玉城の奥武島の富山廣光さん(61)方では、海ブドウの養殖施設が壊れた。「幸い、海ブドウに大した被害はなかったが、パイプの取り換えがまだまだ終わらない。養殖に少し遅れが出ている」と話した。

 通信障害も深刻だ。NTT西日本によると、18日現在、6405件で電話やインターネットが使えない。オリジナルTシャツを製作する社会福祉法人たまん福祉会(糸満市)は「ファクスやメールで注文を受けても確認できない。納期に遅れが出ており、とても困っている」と語った。

 県が米軍施設周辺など19地点に設置する騒音測定器のうち、普天間飛行場周辺の2地点で通信系統が故障。測定値は蓄積しているが、データ送信できない状況が続いている。

 宜野湾市では、横浜DeNAベイスターズがキャンプで使う屋内練習場のガラスやトタン屋根が破損。金武町でも街灯約300基が壊れたままで、住民生活に影を落としている。