【島人の目】玉城知事の誕生喜ぶ


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 玉城デニー新知事の誕生を受けて、僕はSNS上に「“新基地を作らせない”という“新知事”を選んだ沖縄にバンザイ!!」と投稿した。

 イタリアにいながらインターネットを通して本紙や他の日本のメディアの沖縄情報を逐一捉え、自らも発信している。だが今回の知事選ではブログを中心に発表している自分の意見を一度も述べず、玉城知事誕生をことほぐ心情だけを発信した。それに対する反応から、沖縄の友人たちの中にさえも辺野古移設を容認している者が少なからずいることを知り、改めて移設阻止の難しさを感じた。

 なぜなら基地問題に関する全国的な世論が盛り上がらない中では、辺野古阻止のためには少なくとも沖縄県内の意見がほぼ完璧と呼べるほどに「NO」でまとまり、全国の世論の半数以上、できれば60~70%程度が「辺野古移設はNO」と言わない限り、おそらく政府はそこに向けて動くことはない、と思うからだ。

 現在の全国民の関心度はそれらの数字とはほど遠い。だから菅義偉官房長官は、選挙で民意が出た翌日の記者会見で「政府としては早期に辺野古移設を実現したい」という趣旨の発言をし、改めて工事推進の姿勢を強調したのだ。彼は国民の大半が沖縄基地問題に無関心だから辺野古移設を強引に進めても構わない、と安倍晋三首相ともども考えている。発言は確信犯的なものだ。

 そうした偽善的な態度や思惑が政府、中央メディア、国民の間にまん延している状況では、国政が「辺野古移設断念」に向けて動く可能性は低い。だからこそ、沖縄は抗議し続けなければならない。

 沖縄県民が怒ることを止めるとき、沖縄は真に敗北する。沖縄は玉城新知事のもとに結束して、本土世論を動かすために闘い続けるべきである。
 (仲宗根雅則 イタリア在、TVディレクター)