「私の中のペルーと沖縄」 世界のウチナーンチュの日、若い沖縄県系人、ルーツ探る


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ペルーの伝統舞踊マリネラを披露した後、記念撮影する菊田モニカさん(右から5人目)、夫の真志さん(同4人目)、父のアルベルト城間さん(同2人目)ら=19日、沖縄市役所(玉城直美沖縄キリスト教学院大准教授提供)

 10月30日は沖縄から世界各地に移民した人たちやその子孫らにちなんで制定された「世界のウチナーンチュの日」。2016年の制定から2年を迎え、県系3世、4世以降の若い世代の間にもルーツを確認し、人生の糧にしていく動きが出ている。南米ペルー生まれで県系3世の歌手、アルベルト城間さんの長女の菊田(旧姓・城間)モニカさん(25)もその一人。沖縄とペルーの両方のルーツを大切にするモニカさんは、ペルーの伝統舞踊マリネラを夫婦で続けている。沖縄で三線を学ぶ父の姿に刺激を受け、三線などにも挑戦したい考えだ。

 モニカさんは宜野湾市で生まれ、読谷村の小中学校に通った。中1の夏休みに東京へ引っ越してからは県外で暮らした。20歳ごろまでは自らのルーツについて深く考える機会は少なかったという。しかし、21歳の時に経験した1年間のペルー留学で意識が変わった。日系人のイベントではエイサーが披露され、文化として受け継がれているのを目の当たりにした。

 夫の真志さん(25)と留学中に出会い、一緒にペルー各地を旅行したことで父の存在も近くに感じるようになったと明かす。「父はここで生まれ育ったんだと愛着が湧いた。ペルーや沖縄について知りたいと思った」。ペルーの文化を知るため、父が奈良県出身、母がペルー人の真志さんも一緒にマリネラ教室に通い、帰国後も稽古を続けた。

 現在、モニカさんと真志さんは大阪を拠点に、夫婦で全国各地のマリネラのコンクールに出場している。夫婦は「世界のウチナーンチュの日」をPRするため、沖縄市の招聘(しょうへい)で18日から20日まで来沖し、同市役所や沖縄キリスト教学院大学で体験談などを市民や学生らに語った。

 沖縄キリスト教学院大の講義でモニカさんは「自分のことを深く知るためにも一度は外に出てほしい。自分のルーツをしっかり持つことは世界でたくさんの人と関わっていく中で軸になる」などと呼び掛けた。

 受講した當眞采子さん(20)=同大2年=は「日本人は自国や自分の生まれた土地のアイデンティティー、ルーツを考える機会が少ない。もっと自分を詳しく知ろうと思った」との感想を寄せた。大嶺来夏さん(20)=同=は「沖縄について何も知らずに過ごすのはもったいない。沖縄や外国の文化や価値観を学びたい」と刺激を受けた。

 モニカさんは取材に対し「ルーツを知ることで自分や家族を大事に思える」と語り、ペルーや沖縄の文化を学び続けたい思いを込めた。 (古堅一樹)