太陽光固定価格買い取り終了へ 県内対象1万900件  来年11月から順次


この記事を書いた人 大森 茂夫

 家庭などの太陽光発電で作られた電力を一定期間あらかじめ定められた価格で電力会社が買い取る、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)について、2019年11月以降、買取期間が順次終了する。沖縄電力によると、県内では19年11月に約4900件、同12月には約200件、21年度末までに計約1万900件の期間が終了する。終了後も売電は可能だが、自ら契約手続きを行う必要がある。

 制度は09年11月に太陽光発電の余剰電力買取制度として始まった。同制度の開始前から売電していた家庭や開始当初に売電を始めた家庭では、19年11月以降、順次10年間の期間が終了する。資源エネルギー庁によると、全国では19年11月と12月の2カ月で約53万件が期間終了となる。終了時期については現在買い取っている電力会社から、終了の約4~6カ月前に個別に通知されるという。終了後の買い取りメニューは19年4~6月ごろに発表される予定となっている。

 期間終了後の選択肢としては(1)電気自動車や蓄電池などと組み合わせて自家消費する(2)小売電気事業者などに売電する―がある。売電の場合、価格は事業者との間で決められるが、自分で契約手続きをする必要がある。終了後の買い取り価格は、FITでの買い取り価格から大幅に下がるとの指摘もある。沖電は「終了後の自由契約については価格、提示時期ともに検討中」としている。

 沖縄総合事務局エネルギー対策課の玉城暁課長補佐は「設備IDがFで始まる太陽光発電設備は余剰電力買取制度の対象なので、19年以降に順次期間が終了する。まずは終了時期を確認してほしい」と話した。

 期間終了後の電力を買い取ろうとする新電力もある。おきなわコープエナジーは太陽光発電で売電しているコープおきなわの組合員を中心に、19年4月ごろから売電を呼び掛ける予定。100件程度の買い取りを想定し、期間終了後は沖電と同等以上の価格を提示する方針という。嘉手川繁之社長は「再生可能エネルギーを増やすためにも、せっかく設置した太陽光発電を維持してもらえるように貢献したい」と述べ、電力買い取りに意欲を示した。

 用語/FIT

 再生可能エネルギー(再エネ)の固定価格買い取り制度(FIT)は、再エネの普及を目的に発電設備の設置コスト回収の見通しを立てやすくするため、電力会社に一定期間、売電開始時の価格で買い取ることを義務づけた制度。住宅を中心に太陽光発電で作られた電力のうち、余剰電力を対象として2009年11月に始まった。12年7月に風力や地熱、バイオマスなどを対象にした買い取り制度も始まった。電力会社が買い取る費用は再エネ賦課金として電気料金に上乗せされている。