名護・久志診療所閉鎖へ 来年3月末 経営難、住民ら困惑


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 【名護】名護市三原にある久志診療所が、2019年3月31日で閉鎖することが31日、分かった。北部地区医師会が名護市から建物を無償で借りて運営を続けてきたが、受診者の減少や財政負担が増大したことを理由に、市の施設を返還することを決めた。閉鎖すれば久志地域は無医地区となり、地域住民からは、閉鎖後の医療体制を懸念する声や継続を求める声が上がっている。

閉鎖することが分かった久志診療所=31日、名護市三原

 久志診療所は久志地域住民が要望し、市が土地と建物を整備して2003年5月に開所した。総事業費は日米特別行動委員会(SACO)交付金の全額補助を受け、約1億6800万円だった。医師会によると、18年度は約700万円の赤字が見込まれる。県の医師確保対策補助事業の補助金が17年度に打ち切られたことも影響したという。医師会の宮里達也理事は「経営は成り立たず、運営の存続ができない。継続する力はない」と話した。

 名護市は「4月以降については、医師会と協議して何ができるかを検討したい」と答えるにとどめた。

 一方、診療所閉鎖に地域住民の間に困惑が広がっている。三原区の比嘉徳幸区長(61)は「二見以北の住民が利用しており、かかりつけ医がいなくなることで、車を持たない1人暮らしの老人などは困る。13区の区長会でも再開の要望を提案したい」と話した。

 名護市では、13年にも屋我地診療所を閉鎖することがいったんは決まったが、地元住民から再開の要望が上がり、市が診療所を市立に移行し、指定管理者制度で運営を続けている。