〈解説〉県内3行 計21%減益 好景気で本業は順調


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 県内地銀3行の2018年9月中間決算は3行とも減収減益となったが、貸出金利息収入では沖銀と海銀が増加、琉銀は横ばいとなった。マイナス金利政策による貸出金利回りの低下や国債運用収益の減少などの逆風を受け、全国的に地銀の過半数が本業で赤字となる中で、好調な県内経済を背景に資金需要に一定程度応えている。

 減収減益の主因として、琉銀は株式売却益の減少や与信コストの増加などを挙げた。沖銀は外国債の処理で有価証券の利息配当金や売却益が減少した。海銀は貸倒引当金戻入金が大幅に減少した。特殊要因の部分もあり、通期の連結業績予想は沖銀と海銀が上方修正し、琉銀は据え置いた。

 本業の資金利益では各行とも成果を挙げている。琉銀はカード加盟店業務や法人向けサービス手数料などを重視し、役務利益を増やした。川上康頭取は「貸し出しに頼るのはあまり持続的ではない。他の収益源を強化していく」としている。

 沖銀は事業性評価による資金需要の発掘や顧客との関係強化を進めている。山城正保頭取は「お客様の期待を超えるスピードで回答するなど、非金利価値を提供する」と話す。

 唯一貸出金利回り2%台をキープした海銀は、得意の中小企業向け融資をさらに強化。上地英由頭取は「事業性評価によって、担保に過度に依存しない融資を増やしている」と強調する。

 将来的な備えも始まっている。琉銀は債権が回収できない場合に備えた一般貸倒引当金の算定方法を変更し、より長期的な景気の循環を織り込んだ。好景気で企業の倒産などが減り一般貸倒引当金が薄くなっているため、備えを厚くすることが目的だ。沖銀、海銀も同様の手法を研究、検討しているという。

 県内の景気は拡大を続けている。一方で相次いだ自然災害により入域観光客数が前年同月比で減少に転じるなど、基幹産業の観光業には災害や米中貿易摩擦に代表される景気動向など、外部要因に左右されやすい側面がある。県内は当面好況が続くとみられるが、将来的に後退局面に入った時に地元企業を支えていくためにも3行の収益性強化に向けたさらなる取り組みが期待される。(沖田有吾)