【アメリカ】出会いは沖縄 夫と趣味満喫 旧石川市出身、和子・ブレッシーさん(85)


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毎朝の日課はウオーキングという旧石川市東恩納出身の和子・ブレッシーさん(左)と夫のマックリーランさん

 旧石川市東恩納出身の和子・ブレッシーさん(85)と夫のマックリーランさん(92)の毎朝の日課は、ウオーキングだ。夫婦は40代の頃からテニス、サイクリングなど共通の趣味を楽しんできた。和子さんのスケジュールは、アクアサイズに卓球、ボウリング、ドミノゲームなどの日程が入り、元気いっぱいの日々を送る。

 2人の出会いは米軍嘉手納空軍基地内の歯科医院。患者として来たマックリーランさんが歯科助手として働いていた和子さんを見初めた。最初はデートの申し入れを断ったと言う和子さんは理由を「当時は、米兵と付き合うと良からぬうわさを立てられた時代だったので断った」と振り返った。

 しかし、ある日、どうしても基地内で上映している映画を見たかった和子さんは、マックリーランさんに映画に連れて行ってほしいと頼んだ。それが2人にとって初めてのデートとなった。その話の最中に、マックリーランさんが突然椅子から立ち上がり、手に何かを持って現れた。「Good News」と書かれた65年前の映画の半券だった。マックリーランさんにとって、初デートがいかに記念すべき日だったか、大切に取ってあることからも分かった。その後、2人はデートを重ね、和子さんの母親が反対したが、米国人歯科医師夫妻の助力で結婚式を挙げることができた。

 和子さんは、夫の故郷のニューヨーク州に住む両親に温かく迎えられた。しゅうとめから料理などを学んだ和子さんは「義父母をはじめ夫の家族にはやさしくしてもらった。幸運だった」と話す。

 娘たちが生まれ、沖縄勤務も2回あった。最終的に空軍基地のあるバージニア州ニューポートニューズに落ち着いた。3人の娘たちはそれぞれ巣立ち、6人の孫にも恵まれた。

 毎年11月の感謝祭の日には、テネシー州ナッシュビルに住む長女のスーザンさん宅に全員が集合する。高校生、大学生の孫を相手に卓球をするという和子さんは「孫らに負けたことがない」と笑う。

 和子さん宅を訪問していたスーザンさんは「父は世界恐慌の時に子ども時代を過ごし、母は全てが破壊された大戦の時に12歳だった。そんな2人がたどった人生の巡り合わせは興味深い。厳しくも愛情いっぱいの父母に育てられ、たくさんのことを経験させてもらい何事にも対処できる力を与えられたと思う」と語った。
 (鈴木多美子通信員)