中部トリムマラソン 親子4人 思い出の3キロ 心臓病の愛美ちゃんも


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姉の音巴さんに脇を抱えられながら、歩いてゴールする愛美ちゃん(左手前)=25日、沖縄市の県総合運動公園補助競技場

 【中部】心地よい秋風が吹く中、沖縄市の東海岸沿いや県総合運動公園内の緑豊かなコースを2048人が疾走した第29回中部トリムマラソン。「思い出をつくりたい」と心臓に病を抱えた娘をみんなで支えながら完走した家族や、一緒にホノルルマラソンに出走することを目標に毎年参加するおじいちゃんと孫など、それぞれの思いを胸に、一心にゴールを目指した。沿道からは拍手や声援が響き、ランナーの背中を押した。

 心臓に病を抱え、車椅子に乗る安慶名愛美ちゃん(4)=うるま市田場=は、母広美さん(43)と姉の音巴(おとは)さん(11)、美月さん(9)と3キロ親子の部に参加した。家での介護もあり、普段は家族での外出が難しく、「みんなで外のイベントに参加したのは初めて。良い記念になった」と笑う広美さん。親子で駆け抜けた3キロの道のりは、かけがえのない思い出になった。

 生まれつき心臓に病を抱えていた愛美ちゃん。外出時は大きな酸素ボンベを携帯し、吸入器を装着しているため体への負担も大きい。それでも広美さんは「お姉ちゃんたちも小さいうちに思い出を作ってあげたかった」と、出走を決意した。

 おそろいの中部トリム記念Tシャツを着た4人は、松ぼっくりを拾ったり、おしゃべりしたりして、県総合運動公園内の緑豊かなコースを楽しみ、ゆっくりとゴールを目指した。愛美ちゃんの車いすは、3人で順番に押した。

 ゴールまで残り10メートルほどで一度立ち止まった4人。音巴さんが車いすから愛美ちゃんをおろし、脇を支えながら、最後はみんなで歩いてアーチをくぐった。愛美ちゃんはうれしそうに、楽しそうに笑いながら、一生懸命足を動かした。

 広美さんは「お姉ちゃん2人はいつも(愛美ちゃんの)面倒を見てくれる。いい思い出になった」とにっこり。音巴さんと美月さんは「マラソン大会は初めて。楽しかった」と照れくさそうに笑った。