県内3行 女性、より働きやすく 活躍推進取り組む


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 沖縄県内の地銀3行が女性の活躍推進に取り組んでいる。もともと銀行は事務業務を担う女性行員が多く、能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、銀行全体の力を向上させる狙いがある。

 琉球銀行(川上康頭取)は、キャリアアップを目指す際に出産がハンディとならないように、4月から産休や育休の期間を昇格要件の一つの業務経験年数に含める制度改革をした。過去の育休取得者もさかのぼって計算し直した。55歳になると昇格、昇給の対象外となる役職定年制度を4月に廃止したことも併せて、10月に58歳の女性行員が係長級に昇任したという。

 育休からのスムーズな復帰を支援するために講座も定期的に開催し、仕事と育児の両立や環境変化への不安解消を図っている。女性臨時職員の正行員への登用も積極的に進めている。

 女性管理職は、10月時点で係長級が30.4%(2015年度末25%)、課長級は23.6%(同7.8%)、支店長や部長など「経営者層以上」は4.9%(同0.74%)と増加している。人事部の比嘉梨絵さんは「身近にキャリアアップした実例がいるので、女性行員が自分のキャリアについてイメージを持ちやすくなっている」と話す。

 沖縄銀行(山城正保頭取)は19年度から、現在の総合職と一般職に分かれた職員のコース区分の一本化を予定している。営業店の窓口業務などを担う一般職は、昇進が支店長代理や課長代理までと制限されている。一本化により女性が大部分を占める一般職行員の意欲向上と活躍推進を図る。

 県経営者協会女性リーダー部会への参加など、異業種の女性リーダーとの交流を通じ情報交換と意識向上を図っている。支店長以上に昇進するためには法人営業スキルの取得が必要となるため、全国地方銀行協会の養成講座へ女性行員を派遣するなどの取り組みにも力を入れる。

 管理職に占める女性の比率は3月時点で19.2%と、管理職全体の人数が減少する中で14年3月時点の17.5%よりも増加している。行内計画では女性管理職20%以上を目指していて、20年度までに達成される見込みという。人事部の仲村徳(なる)美上席業務役は「もともと女性の多い職場で、女性が活躍できる環境を整備することは人材を生かすことにつながる」と話した。

 沖縄海邦銀行(上地英由頭取)は、男性が大部分を占める融資担当に女性を積極的に充てている。支店長には融資業務のスキルが求められることから、経験を積ませている。女性の数は支店で融資を中心にみる主任2人、法人融資を中心に担当する調査係は4人、営業係は16人いる。9月には新たな試みとして、営業店を指導支援する本部の法人営業調査係に女性行員が配置した。融資担当能力を持った女性行員を増やし、ロールモデルを作ることを目指している。担当の変化にも対応しやすいように、人事部では各係の業務内容や評価する部分などを記載したキャリアシートを作成中だという。上司と自分の評価の「目線合わせ」が可能となり、習熟度を効率良く高めることを期待している。

 人事部の儀間隆上席調査役は「女性行員の融資担当スキルは非常に高い。男性では通常気がつかないところをしっかりと取り入れて融資に当たっている」と話した。

 管理職に当たる副長級の女性行員は29人。うち本部の調査役6人、支店長を支える副長が23人いる。管理職に占める女性の比率は12.7%で、行動計画で目標としている15%以上に向けて取り組みを続けるという。
 (沖田有吾)