琉球人遺骨返還、4日提訴 京大に損害賠償も求める


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琉球人遺骨返還訴訟の提訴を前に、百按司墓を現地調査する原告団・弁護団のメンバー=9月14日、今帰仁村

 旧帝国大学の人類学者らが1929年に沖縄県今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から持ち出した遺骨が返還されていない問題で、琉球民族遺骨返還研究会の松島泰勝代表(龍谷大学教授)ら5人が4日、遺骨を保管している京都大学に遺骨返還と損害賠償を求め、京都地裁に提訴する。琉球人の遺骨返還を求める民事訴訟は全国で初めて。

 百按司墓は北山王系または第一尚氏系統の墓所と考えられているため、家譜などから第一尚氏の子孫と確認されている2人が原告となる。ほかに琉球民族として松島代表と照屋寛徳衆院議員、彫刻家の金城実さんの3人も原告に加わる。

 原告らは、京都大が遺骨を返還しないことで憲法20条の信教の自由が侵害されていることなどを訴える。遺骨返還を求める権利を明記した国連の先住民族権利宣言にも反していると主張する。損害賠償は原告1人あたり10万円を求める。

 遺骨は京都帝国大学(現在の京都大)の助教授だった金関丈夫氏が、29年に百按司墓から持ち出したことが分かっている。松島代表らは京都大に情報開示と遺骨返還を求めたが、拒否されたため提訴を決めた。

 原告団と弁護団は4日、京都市の京都地裁に訴状を提出し、同市内で200人規模の集会を開く。松島代表は「遺骨の盗掘は国家による犯罪行為であり、日本の植民地主義は未清算だということを訴えたい」と話している。

 先住民族が研究目的で持ち出された遺骨の返還を求める動きは近年、世界的に広がっている。アイヌ民族は北海道大学などに返還を求める訴訟を提起し、和解により遺骨を返還させた。