若者教育の徹底が鍵 18歳成年シンポで議論


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「消費者教育の徹底が大事だ」と訴える平澤慎一弁護士(右端)=1日、那覇市

 民法改正で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることに対し、消費者の立場から多角的に検証するシンポジウム(沖縄弁護士会主催)が1日、那覇市職員厚生会厚生会館であった。基調講演した日本弁護士連合会消費者問題対策委員会幹事の平澤慎一弁護士は、成年年齢を引き下げた法案について「知識や判断力が乏しい若年層を消費者被害から守る救済措置など、十分な対策を練らないまま可決された」と指摘し、若者への消費者教育の徹底が必要だと訴えた。

 未成年者が保護者の同意なしで高価な買い物をした場合などに、契約を無条件に取り消すことができる未成年者取消権は、改正法では適応年齢が18歳にまで引き下げられる。平澤弁護士は社会経験の少ない若者の多くが契約の意味やリスクを理解していない中、取消権は「消費者被害の防波堤だ」とした。

 パネルディスカッションでは平澤弁護士のほか県消費生活センター相談員の仲宗根京子さん、沖縄大学法経学部の島袋隆志准教授、首里高校教諭の仲間広美さん、高良祐之弁護士が、それぞれ意見を述べた。

 仲宗根さんは「横のつながりや人間関係が濃い沖縄では全国と比較して圧倒的にマルチ取り引きの相談が多い」と語り、沖縄ならではの被害傾向があるとした。島袋准教授や仲間さんは、消費者被害を早くから認識してもらうためにも消費者教育を高校の授業で取り入れるよう提案した。