【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米議会調査局(CRS)は1日までに、日米関係に関する新たな報告書を公表した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「9月の県知事選で普天間飛行場移設に反対する政治家が選ばれたことで、(日米両政府による)移設合意の実現に懸念が残っている」と指摘した。
報告書は、安倍晋三首相の下、防衛予算の増額や安全保障関連法の成立、仲井真弘多元知事による辺野古沖の埋め立て承認が実現したと評価した。一方、普天間飛行場移設は長年、県民の反対で遅れが生じていると説明。住宅地に非常に近い普天間飛行場について、「致命的な航空機事故の危険性を高めており、沖縄の強い反発が起これば、日米の同盟関係を脅かす恐れがある」と分析した。
翁長雄志前知事の急逝に伴い行われた知事選で「沖縄人女性と海兵隊員の息子である玉城デニー氏が大勝し、建設を阻止するための戦略を追求することを誓った」と解説している。
報告書は、日本の対中国、北朝鮮、韓国との外交・安全保障や、自衛隊、内政など多岐にわたり、日米関係の現状を分析している。前回の報告書は、2016年夏の公表で、最新版は10月19日付で更新された。
玉城デニー知事は11月の初訪米で、同報告書の作成に携わったマーク・マーニン専門官らとも面談。報告書は議会へ提出後だったが、玉城知事は日米両政府と県の三者協議の開催を求めていることなどを説明し、今後の報告書に盛り込まれることに期待した。