天国の息子に励まされ 赤嶺さん、34回連続完走 NAHAマラソン


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NAHAマラソン、おきなわマラソン共に第1回から連続出場で完走している赤嶺彰一さん=2日午後、奥武山陸上競技場

 第1回から出場している赤嶺彰一さん(68)=南風原町=は、4時間48分のタイムで34回連続となる完走を果たした。大腸がんを患い、5年前に亡くなった次男の彰伸さん=享年(32)=への思いを胸に、完走記録を延ばし続けている。

 5年前の大会直前、彰伸さんは集中治療室(ICU)に入るほど病状が思わしくなかった。走るのはもうやめようと考えた赤嶺さんだが、出場へ背中を押してくれたのは、ほかならぬ彰伸さんだった。「マラソンを続けてほしい」と説得されて出場し、完走記録を延ばした。しかし、大会直後に彰伸さんは他界した。

 四十九日の翌日はおきなわマラソンがあった。自宅を出る前に「頑張ってくるからね」と遺影に手を合わせた。練習もままならないまま出場した結果、記録は過去ワーストだったが、同大会でも初回からの連続完走を果たし、現在も続いている。

 最近は両膝に水がたまるため、かつてのようなタイムで走ることはできないという。それでも、彰伸さんの娘ゆめりちゃん(5)と長男・彰彦さんの息子とあちゃん(4)の2人の孫の存在が走ることへの意欲を支えている。「孫が大きくなって記憶に残してもらえるまで、完走し続けたい」。赤嶺さんは力強く語った。